データ活用の重要性は、ここ最近の急速なデジタル化の推進により、劇的に大きくなりつつあります。とくにビジネスにおける意思決定に役立つ情報の取り扱いについては、企業の成長に大きな影響をもたらします。
そんな重要度の高い情報を効果的に運用するための製品が、BIツールです。本記事では、BIツールが現在どれくらい企業で採用されているのか、どれくらいの市場規模を有しているのかについて解説します。
BIツール導入のメリット
BIツールの導入は、データ活用を促進する企業において、極めて高い効果を発揮します。社内システムに点在しているデータを一箇所に集積し、全社的に使用可能にするなどの有用性を高め、データの資産価値を飛躍的に向上するのが特徴です。
また、データを一箇所に集めることで集計・分析にかかる時間を短縮し、分析結果を短期間で算出したり、分析担当者の負担を軽減したりできます。BIツールの多くはデータ分析の機能に優れており、分析にかけられるスキルや時間がなくとも、短期間でデータの解析を行い、ビジネスの現状把握に貢献します。
現在事業が抱えている課題や改善点を早急に把握することで、高いレベルでの意思決定を実現できるのが、BIツールです。
BIツールの市場規模
企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に伴い、現在BIツールの導入企業は増加傾向にあります。ミック経済研究所が2020年11月に発表した「ビジネス・アナリティクス市場展望 2020年度版」によると、2019年度の市場規模は3,484億円を達成し、前年度比で13.5%の増加を遂げました。
また、2025年度までの年率平均成長率は13.3%増と推測されており、同年に7,368億円に達するという見立ても発表されています。BIツール市場には多くの企業が注目しており、強いニーズを感じている企業が増えていると捉えられるでしょう。
出典:ビジネス・アナリティクス市場展望 2020年度版 | デロイト トーマツ ミック経済研究所
BIツールの導入状況
それでは、現在のBIツールの実際の導入状況はどの程度となっているのでしょうか。調査会社のガートナージャパンが2019年に発表したデータによると、調査対象者の74%が自社でBIツールを利用していると回答したということです。
ただし、実際の利用状況については、導入企業の中でもさまざまな回答が得られています。自社でBIを利用しているという回答者のなかで、最も多い割合の41%は自身では利用していないと回答し、主に自身の分析ニーズによって、能動的に利用しているという回答者は35%にとどまりました。
またBIツールを利用していると答えた回答者でも、週1回以上利用している人は全体の49%となっています。BIツールを活用していないと答えた回答者に理由を尋ねると、「ツールの使い方が難しい、使いこなせない」が最も多く、「パフォーマンスが低い、処理に時間がかかる」が次に続きました。
BIツールを導入すればあらゆる課題が解決するとは限らず、自社に合った製品の導入を心がけることや、BIツールを正しく運用するための研修が必要であることなどがわかる調査結果です。
出典:企業におけるBIツールの導入状況に関する調査結果を発表|ガートナー
BIツール導入を検討する際のポイント
上記のような結果を踏まえると、BIツールはただ導入すれば良いだけではなく、運用に当たってはあらかじめいくつかの検討事項をクリアにしておく必要があると言えます。
BIツールの導入を考えている場合、まず検討したいのは自社に必要な機能を実装しているかという問題です。BIツールには複数の種類があり、ツールごとに実装している機能は微妙に異なります。自社で必要としている機能を搭載していないBIツールを導入してしまうと、せっかくツール導入を推進しても、宝の持ち腐れとなってしまいます。あらかじめ自社で必要な機能を確認し、機能要件を満たした製品をピックアップすることが大切です。
また、既存のIT環境と導入予定のBIツールの相性も、導入前には検討が必要です。たとえばデータ連携などが可能なBIツールであれば、導入時の負担や運用時の手間がかからなくなるので、業務効率化に貢献します。自社のツールと相性の良いBIツールを導入し、負担削減を進めましょう。
初めてのBIツール導入という場合には、予算に見合ったツールかどうか、サポート体制は整っているかなども確認が必要です。中長期的な運用が前提のBIツール導入において、確実に費用対効果が得られる製品はどれかを正しく検討しましょう。IT活用やBIツールに慣れていない会社の場合、サポートが充実しているサービスを選定することで、BIツール運用のハードルを解消することができます。
人気のBIツール
最後に、多くの企業で導入が進む人気のBIツールを紹介します。どのツールを導入すれば良いかわからない場合、ひとまず以下のBIツールを検討候補にしてみましょう。
カスタマーリングス
カスタマーリングスはデータを集計するだけでなく、分析にかけて有効な情報を得るためのサポートに特化しているBIツールです。クリック操作で誰でも簡単に分析結果を得られる設計を採用し、初めてのBIツール導入でも安心のパフォーマンスが期待できます。
また、ただ集計結果を表示するだけではなく、独自の分析によって、集計担当者に気づきを与える仕組みを採用しています。データが示す新しい視点を、同ツールによって迅速に得られるようになるでしょう。
Dr.Sum
Dr.Sumは、社内に散らばったデータをまとめて集積し、有効なデータ活用を促進してくれるBIツールです。社内ツール開発はノーコードで実行できるため、プログラミングの経験やスキルがない人でも、簡単に管理や設定が行えます。
充実したサポート体制で93.8%の保守継続率を達成しており、安心して利用できるのもポイントです。根本的なデータ分析基盤の拡充に取り組みたい会社にとって、信頼できるサービスだと言えるでしょう。
Domo
Domoはデータドリブンな企業経営を実現する、最先端のテクノロジーを採用したBIツールです。一元化されたデータベースを一目で確認できるビュー機能を有し、アナリストの業務効率化を実現します。
既存のデータウェアハウスとBIツールの連携を強化できるのはもちろん、カスタムアプリケーションの作成およびデータパイプラインの自動化などにも対応できます。既存のデータ活用環境では満足できない方に、おすすめしたいBIツールです。
自社の課題に合ったBIツールを導入しよう
BIツールはただ導入すれば良いだけではなく、正しい製品選びができるかどうか、使いこなせるBIツールであるかどうかが大切です。自社でBIツールを使ってどのような業務を実現したいのか、あるいは自社のITスキルやデータベース構築環境はどの程度のものかを踏まえた上で、最適な製品を選びましょう。