「次回の打ち合わせはZoomにするよ。いいよね」──。会社の上司や取引先からいきなり、こう問われたとき、今の時代を生きるビジネスパーソンとしては、「いいですよ」と即答したいはずである。ただしそれには、Zoomがどんなシステムで、どう使えばいいのかを知らなくてはならない。「ZoomがWeb会議のシステムであることは知っている。でも、使い方は知らないし、使えるかどうかも分からない」─。そんな状況を打開していただくべく、以下では、Zoomの機能と使い方の基本を紹介する。
速習!Zoomとは何か?
人が「Zoomで会議を行う」と言うときの、「Zoom」とは、「Zoom Meetings」のことを指している。Zoom Meetingsは、シリコンバレーのベンチャー企業ズームビデオコミュニケーションズによって開発され、2013年からサービスが開始されたクラウド型Web会議システムである。
今日、日本国内の販売パートナーも6社にまで拡大し、すでに市場で2桁のシェアを獲得していると見られ、急成長を持続しているとされる。
Zoom Meetingsは、クラウド型のサービスなので、利用のために特別な機器を導入する必要はない。インターネットに接続できるPCとWebブラウザ、音声で相手と対話するためのマイクとスピーカー、そして自分の映像を撮るためのWebカメラがあれば、Zoom Meetingsによる会議が行える。ちなみに、今日の可搬型PC(ノートPC)には、大抵の場合、マイクやスピーカー、Webカメラが内蔵されている。ゆえに、「Zoom Meetingsを使うのには、PCがあればOK!」と言えなくもない。
また、Zoom Meetingsでは、スマートフォンやタブレット用のアプリが提供されており、それをインストールすれば、スマートフォン/タブレットからもZoom Meetingsを使うことが可能になる。
Zoom Meetingsでできること
次に、Zoom Meetingsの基本機能─つまりは、Zoom Meetingsで、どのようなことが可能になるかを見ていくことにしたい。
Zoom Meetingsの基本機能(サービス)は、大きく以下の3つに分けることができる。
(1)Web会議
(2)画面共有
(3)チャット(テキストチャット)
それぞれの概要は次の通りである。
(1)Web会議
Web会議は、Zoom Meetingsのメインのサービスで、最大1,000人のユーザーが同じ会議に参加することができ、最大49人の映像を1台の端末画面に表示させることができる。また、Zoom Meetingsの場合、無料版も用意されており、40分という制限時間内であれば、最大100人が参加するWeb会議を催すことができる。
(2)画面共有
Zoom MeetingsでのWeb会議の参加者は、各自のアプリケーションや文書の画面を全員で共有して見ながら、お互いにコメントを入れるなど、共同作業を効率的に進めることができる。
(3)テキストチャット
Zoom Meetingsでは、LINEのような感覚でテキストメッセージをやり取りできる「チャット」機能も提供している。
このほか、Zoom Meetingsでは、ファイルの共有やコンテンツ検索の機能を提供しており、その閲覧を許可するメンバーを限定したプライベートグループ(非公開)を作成することもできる。
Zoom Meetings活用、初めの一歩
Zoom Meetingsのユーザーの評価は高く、とりわけ「使いやすさ」には定評がある。実際、ITreviewに寄せられたユーザーのレビュー(口コミ・評判)を見ても、「使いやすい」「簡単」という声が非常に多い。
ならば、どれほど簡単なのだろうか。その実際について簡単にチェックしてみたい。ここではWindows PCで、Zoom Meetingsを使う(Zoom Meetingsを使って会議を催す)ことを想定して、その導入手順について確認することにする。
参加に向けた導入の手順
先ほど述べた通り、Zoom Meetingsには無料版が用意されており、それを使うことでZoom Meetingsの基本機能を点検することが可能である。
導入手順(1)アプリのインストール
仮に、無料版のZoom Meetingsを使ってWeb会議を主催してみたいと考えるならば、Zoom Meetingsのクライアント用アプリ「ミーティング用Zoomクライアント」をダウンロードして、Windows PCにインストールすることから始める必要がある。
そのためにはまず、ZoomのWebサイト(https://zoom.us)にアクセスして、ブラウザ画面の最下部にある「ダウンロード」をクリックする。すると、以下のような「ダウンロードセンター」画面が表示される。

ここで、「ミーティング用Zoomクライアント」の「ダウンロード」ボタンをクリックし、インストーラーをダウンロードする。そして、インストーラーを起動してZoomクライアントアプリをインストールすれば、作業は完了となる。ちなみに、インストールが完了すると、Windowsのスタートメニューに以下のようなZoom Meetingsの起動アイコンが追加されるはずである。

導入手順(2)アカウントの作成
初めてZoomを利用する場合は、アプリをインストールしたのちに、自分専用のアカウントを作成する必要がある。それには、WindowsのスタートメニューからZoomを起動し、開いた画面の「サインイン」をクリックする。

この画面で、「無料でサインアップ」をクリックすると、以下のようなZoomのWebページが表示される。

会議の始め方(主催の方法)
Web会議を主催するには、まず、Zoomのクライアントアプリにサインインする。サインインしたアプリ画面のメニューアイコンから、「新規ミーティング」をクリックして、さらに「スケジュール」をクリックする。

それによって表示された画面で、Web会議の「ミーティング名」「ミーティング開始日時」「ミーティング時間」を設定する。
これにより、ミーティングIDを割り振ったURLが発行される。例えば、ミーティングIDが「123456789」だった場合、「https://zoom.us/j/123456789」というURLが自動的に生成される。そのURLをメールやチャットなど任意の方法で参加者に通知することで、Web会議に招待することができる。
会議に参加する手順
上に示した手順は、Zoom Meetingsを使って、会議を主催するのに必要な作業である。
実を言えば、Zoom Meetingsによる会議に(PCから)参加するだけではあれば、上述したような手順は不要である。要するに、Zoom Meetingsのアカウントを持たないユーザーでも、Zoom MeetingsによるWeb会議に参加できるというわけだ。
その参加のプロセスを非常に簡単で、Web会議の主催者から送られてきた招待メールにあるリンクをクリックすると、Zoom Meetingsの画面が自動的に立ち上げり、会議への参加が可能になる。
こんな使い方も!Zoomの便利機能
Zoom Meetingsには上述した基本機能のほかにも、便利な機能がさまざまにある。Zoom Meetingsの基本機能に慣れて“勘所”がつかめてきたなら、それらの機能を使い、Web会議の利便性をより高めることができる。
例えば、「画面レコーディング」は、便利な機能の1つだ。この機能を使うことで、Web会議の内容を録画もしくは録音することができる。レコーディングされた内容は、議事録作成用の資料として役立つほか、社内講習の教材、講義の振り返り、プレゼンテーションなど、アイデア次第で応用の幅を広げることができる。
また、Zoom Meetingsユーザーの間では、「Googleカレンダー連携」の機能に対する評価が高い。例えば、WebブラウザとしてGoogle ChromeやFirefoxを使っている場合、Webブラウザ用のZoom拡張機能を利用することで、GoogleカレンダーからWeb会議のスケジューリングを行ったり、スケジュールを削除・変更したりすることができる。
こうしてZoomの扱いに慣れていけば、「明日の会議はZoomで」と言われたときに、慌てるどころか、安堵するようになるかもしれない。