時間や場所を問わず、オフィスに限定されない働き方が求められる現代では、新たな働き方としてテレワークの導入が浸透しています。テレワークの普及とともに欠かせなくなってきたのが、オンライン会議(Web会議)です。オンライン会議があることにより、時間や場所に縛られず、会場費や人件費などのコストカットにもつながります。
この記事では、Web会議(オンライン会議)ツールの導入を検討されている企業の方に向けて、基本機能やメリット・導入ポイントやおすすめのオンライン会議ツールまで丁寧に解説します。
目次
オンライン会議とリモート会議の違い
オンライン会議(Web会議)とは、インターネットを通じて開催する会議のことを指します。インターネット環境とWebカメラ、ヘッドセット、スマートフォン、タブレットなどのデバイスさえあれば、時間や場所を問うことなく、お互いの顔を見ながらオンライン上で容易に会議を展開することができます。
リモート会議とは、離れた場所にいる人同士が、何らかの方法で参加する会議のことを指します。リモート会議の場合、遠隔地にいる人同士のコミュニケーション手段はインターネットだけに限りません。
たとえば、専用の機器と回線を利用して映像・音声のやり取りを行う「テレビ会議」や、指定の電話番号にかけることで、複数人と同時に通話する「電話会議」などもリモート会議に含まれます。
「オンライン」での打ち合わせが浸透
オンライン会議は、会場費や人件費・移動費などの会場運営に必要な機材等にかかるコストが省け、社員がどこにいても会議が可能なため、IT環境の整備とともに普及してきました。さらには多様な働き方が求められ、テレワークが浸透する現代においてますます欠かすことができなくなっています。特にコロナ禍によって対面や人流の抑制が求められる昨今、もはや「オンライン」で打ち合わせを行うことが一般的になっているといってもいいでしょう。
オンライン会議(Web会議)に必要な機材
オンライン会議(Web会議)を開催する際には、事前に必要な機材を揃えておく必要があります。以下4つの機材はどれもオンライン会議を行ううえで、必要不可欠な機材であるといえるものです。
オンライン会議(Web会議)ツール
オンライン会議に参加するためにはオンライン会議(Web会議)ツールを利用します。オンライン会議ツールには、有料・無料や、インストール型やクラウド型などの種類があります。こちら、種類や選び方は後ほど紹介します。
インターネット環境
インターネットの利用できる環境下にあることは、オンライン会議を行う際の必要最低条件です。そのため、まずインターネットの利用ができる環境にあるのか確認を行い、そのうえでそのほかの機材も揃えていく必要があります。
Webカメラ
オンライン会議(Web会議)には、Webカメラも必要となります。Webカメラは多くの人数でオンライン会議や、Webセミナーを行う際に役立ちます。また非対面で1対1でする面談や採用活動で応募者との面接を行うような場合にも、相手の顔や表情がわかるため、Webカメラは欠かせません。
パソコンの内蔵カメラを使用している方も多いですが、古いパソコンの場合、暗かったり画像が粗かったりすることも多いので注意しましょう。暗く見えたりして相手の心象を悪くしないためにも、一度自分がどのように映っているか確認しておくとよいでしょう。
ヘッドセット
オンライン会議では映像以上に重要なのが音声です。電話で相手の声がよく聞こえないということはまずありませんが、オンライン会議ではネットやパソコン環境によって音声が聞きづらいことが多々あります。
音声は映像以上にコミュニケーションに大きな影響があるので、お互いにスムーズな会話を展開させるためにも音声が心配という方は、ぜひヘッドセットを用意することをおすすめします。現在販売されているヘッドセットの中にはワイヤレスイヤホン仕様の製品や、高品質なマイクを内蔵するモデルも多くあります。個々の目的に合うヘッドセットを選ぶようにしましょう。
スピーカー
オンライン会議(Web会議)の代表的なデバイスとして、オンライン会議用のスピーカーが挙げられます。Web会議用のスピーカーにはワイヤレスに使用できる製品も販売されており、さらに快適にオンライン会議を進められる機材の1つとなっています。
オンライン会議(Web会議)に備えること
オンライン会議(Web会議)を開催するためには、事前にきちんと用意しておくべきことがあります。次の4つのポイントを確認し、万全の体勢で開催することが求められます。
1.オンライン会議ツールの選定
オンライン会議(Web会議)の開催を決めたときに、まずはどのオンライン会議ツールを導入するべきか選ぶ必要があります。選定の際には他社ツールとの比較を行いながら検討していくと、導入までスムーズに進められます。
2.必要機材を用意し動作を確認
オンライン会議(Web会議)は、インターネットとWebカメラ、ヘッドセット、デバイス(パソコン・スマートフォン・タブレットなど)といった必要最低限の機材を集めるだけで開催することができます。これらの機材を揃えたところで、動作のチェックを行います。
3.具体的な機材の配置を決定
どの機材をどこに配置するかということに関しては、個々に決定する必要があります。多くの機材が画面に映り込んでしまうよりは、映るものの少ない配置を心がけるほうがオンライン会議(Web会議)に相応しいでしょう。
4.必要資料を揃えておく
実際に会議やセミナーを開催する場合にも、オンライン上で開催する場合にも、事前に当日使用する資料を用意しておく必要があります。資料は誰にでも見やすく、1つの資料を共有して閲覧する際にもわかりやすい内容であることが望ましいでしょう。事前にパソコン上で画面共有できるかどうかテストしておくとよいでしょう。
オンライン会議(Web会議)ツールの種類
オンライン会議(Web会議)システムには、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。自社に最適なツールを導入しスムーズに活用していくためにも、Web会議の種類を知っておきましょう。
クラウド型オンライン会議ツール
オンライン上に導入されている会議システムをそのまま活用できます。システム提供を行うベンダーと契約することにより活用可能で、サーバ管理までベンダーが行うので業務の効率化につながります。比較的リーズナブルな価格で活用できます。
オンプレミス型オンライン会議ツール
オンライン会議用のサーバ構築を行います。自社の情報セキュリティに最良であるとされる設定に調整可能で、カスタマイズも自由にできます。長いスパンで見れば工夫次第で安価に利用することも可能です。
オンライン会議(Web会議)ツールの基本機能
オンライン会議(Web会議)ツールの基本機能として、画面の映像や音声を活用した機能だけが備わっているように思われがちです。実際にはそれ以外にも、さまざまな機能が搭載されています。多くの製品で搭載されている基本機能として、主に次の6つが挙げられます。
画面の共有
1つの資料を複数人で共有できる機能です。画面共有を行えることによって、業務の効率化にも寄与します。この他デスクトップ共有機能でも、画面の共有が行えます。相手の許可をとることにより、映像画面を自ら操作することも可能です。
メディアの再生
音声ファイルや映像ファイルを、自身のオンライン会議(Web会議)画面から参加者に配信できる機能です。コマ送り機能やスロー再生機能なども搭載されており、幅広い用途で活用可能となっています。
録音・録画
オンライン会議の内容をそのまま録音・録画できます。たとえば収録した映像を、研修やイベントなどで配信することも可能です。当日のオンライン会議を欠席してしまった人に、後から収録映像を見せることもできます。
ホワイトボード
同じ画面を全員で眺めながら、文字や図形などでコミュニケーションを活発化させることも可能です。情報共有のほか、チャットなども活用することができます。入力には、キーボードやマウス、ペンタブレットなどが使えます。
セキュリティ対策
会議の情報を暗号化する機能などが備わっています。特にオンプレミス型のオンライン会議(Web会議)のケースでは、自社の方針に沿いフレキシブルに対策を施しやすいでしょう。セキュリティレベルは、個々の製品により異なります。
アンケート
オンライン会議(Web会議)の参加者にアンケートを実施したり、質問を行うことができます。アンケートの結果は、オンライン会議上の集計画面にそのまま表示されます。
オンライン会議(Web会議)ツール導入のメリット・デメリット
オンライン会議(Web会議)ツールを導入する企業が増加している背景として、テレワークや働き方改革の影響があります。導入を検討する企業の方は種類や基本機能だけでなく、具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのかまで、目を向ける必要があるでしょう。
オンライン会議ツール導入のメリット
1.業務の効率化
WordやPowerPointといったドキュメントをオンライン会議(Web会議)ツール上で容易に共有できるため、会議資料における準備や共有・整理や編集などの一連の業務フローをより効率的に進められます。多くの社員と一度に同じ資料を共有できることにより、業務の効率化を促進させます。
2.経費の削減
オンライン会議(Web会議)ツールは専用の回線やモニターなどが不要であるため、初期費用が最小限で済みます。クラウド型の場合にはサーバの設置も不要なので、初期費用がかかることなくシステム利用料だけで運用できます。そのため、経費を大幅に削減することが可能です。
3.スピーディーな情報共有
いつどのような場所にいても出席することのできるオンライン会議(Web会議)ツールは、情報の共有やスケジュール調整などにも迅速に対応することができます。そのため、すべての社員にすぐに情報を共有したい場合や、スケジュールを素早く調整したいときにも有益なツールとなっています。
4.いつどこからでも会議が可能
オンライン会議(Web会議)ツールの導入により、働き方の幅にも広がりが出てきます。従来はテレワークの社員も会議のためだけに出社することも少なくありませんでしたが、オンライン会議の普及でいつでもどこでもWeb会議に参加することができるようになりました。
5.コミュニケーションの円滑化
出張する必要もなくオンライン上で会議を行えるため、遠隔地にいる社員間のスムーズなコミュニケーションにも役立ちます。もちろん同じビル内に勤務する他部署とも、ツール活用により積極的なコミュニケーションをとることができます。会議やセミナーのほか、研修やカウンセリングなどにも活用可能です。
オンライン会議ツール導入のデメリット
1.相手の反応が読みにくい
オンライン会議(Web会議)は直接対面しての会議ではないため、特に音声通話のみの際に相手の反応が読み取りづらいことがあります。このようなときには、オンライン上で相手に尋ねることが必要です。
オンライン会議(Web会議)ツール導入の際の注意点
オンライン会議(Web会議)をツール導入する際には、自社がどのような製品を求めていて、最終的に何を重視するか明確にしたうえで、製品比較をしっかり行っておきましょう。
音声の品質
オンライン上で会議(Web会議)やセミナーを開催するときに音声の品質がよくなければ、評価を下げるものにもなり得ます。音声の品質は、使用するデバイスや通信環境、マイクに大きく左右されます。これらの機器は事前にすべて音声品質や動作状況に問題がないかどうか、確認しておく必要があります。
映像の品質
音声と同様に重要となるのが、画面に映る映像の品質です。映像がフリーズしてしまったり途切れてしまうような状態は、オンライン会議(Web会議)の妨げとなります。そのため、映像品質に問題がないかどうかも、きちんとチェックするようにしましょう。
機能性
どんな会議が多いのか、セミナーがメインになるのかなど、会社によってオンライン会議システムの用途もさまざまです。オンライン会議システムを選ぶ際には、製品によって搭載されている機能や強みは異なるので、自社の用途に合ったシステムを選ぶことが大きなポイントです。
操作性
オンライン会議システムを導入したものの、「使いにくくてあまり使わなくなってしまった」とならないためにも、導入に際しては誰もが簡単に使いこなせるような操作性であるかを確認しましょう。会議やセミナーは参加人数が多くなったり、長い時間開催されたりすることも多いため、優しく扱いやすい仕様であることは必須です。
サポート体制
オンライン会議は多くの人が参加することもあるため、トラブルが発生した場合の影響がとても大きくなります。いつどんなときでも、素早く対応してくれるベンダーかどうかを事前に確認しておきましょう。メールやチャットでの問い合わせだけでなく、緊急時の電話にも対応可能なツールを選ぶと、解決までのプロセスもスピーディーです。
おすすめオンライン会議(Web会議)ツール6選
実際に、オンライン会議ツールを活用されている企業の方々のレビューが多い製品を中心に、おすすめのオンライン会議ツールを紹介します。
(2022年1月11日時点のレビューが多い順に紹介しています)
1.Zoom Meetings
幅広い用途の会議やセミナーを実現するオンラインビデオ会議ツールです。1つのビデオ会議に参加可能な人数は、最大1,000人までとなっています。質疑応答機能などもあり、積極的なコミュニケーションを生みやすい仕組みとなっています。
2.ハングアウト Meet
Google Suiteに搭載されている機能であり、設定後URLをメンバーに共有すると会議を始めることができます。シンプルかつスピーディーなUIが魅力とされており、複数人参加のWeb会議も容易に行うことができます。
3.ISL Online

すべての製品を1ライセンスで利用できるリモートコントロールソリューションです。テレワークやリモートサポート・ヘルプデスクや遠隔デモンストレーションなどのさまざまな用途で利用可能です。
4.Calling Meeting
Web会議とオンライン商談・チャットボットなどのコミュニケーションツールを1つに統一させたシステムです。資料の共有やホワイトボード・ルーム内チャットやトークスクリプトなど豊富な機能が搭載されており、業務の効率化を促します。
5.VCRM

インサイドセールスを中心としたオンライン商談システムは、オンラインでの効率的な営業活動から、売上の向上や商談数アップにつなげます。画面の共有や音声議事録の作成・複数人での商談などの機能など、扱いやすいインターフェイスとなっています。
6.Zoom Rooms
ビデオ会議やワイヤレス画面共有のために統一されたソフトウェアを基本とした会議室システムです。一度のタップのみで会議を開始可能で、デスクトップやスマートフォンなどのほか、Wi-FiやHDMI・H.323/SIPエンドポイントなどから参加できます。
オンライン会議を取り入れて業務効率化を進めよう
テレワーク化が広まる中、オンライン会議ツールはますますその価値が高まっています。テレワークを導入する企業は年々増加しており、業務効率を維持するためにもオンライン会議ツールは必須になっています。離れた場所でも、対面と同じコミュニケーションを可能とするだけでなく、業務の効率化もサポートしてくれる心強い味方です。
現在、各社からさまざまな機能をもつオンライン会議ツールが続々とリリースされていますが、導入する際には、会議の内容や業務内容に合ったツールを選ぶことが大切です。使い勝手やセキュリティなど重視するポイントを見極めながら、自社に合ったサービスを見つけてみてください。