ペーパーレス化により社内外でのデータ共有、送受信がますます増えてきました。また、動画など大容量データも送受信する機会が増えており、データ共有に苦労されている方も多いのではないでしょうか。
そんな時に便利なのがオンラインストレージ。オンラインストレージはインターネット上にデータを保管することで、自社でファイルサーバ等の保存環境を構築することなくデータの保存、共有が可能となります。
現在、各社からさまざまなオンラインストレージサービスが提供されています。無料・有料、提供される機能もサービスにより千差万別です。これから自社でオンラインストレージの導入を検討されている方は、「どのような機能が必要か」「どのくらいの費用が掛かるのか」といったところで悩まれるのではないでしょうか。
本記事では人気のオンラインストレージを管理機能とコストで比較していきます。
法人向けオンラインストレージに必要な管理機能は?

法人向けのオンラインストレージでは、ほとんどの場合「管理者」と「ユーザ」を設定することができます。情報システム部門がある企業では、情報システム部門の方が「管理者」として、利用者である従業員を「ユーザ」を管理することになるでしょう。
オンラインストレージは、データを自社ではなくサービス提供者が運営しているデータセンターに保存し、クラウド経由でサービスにログインするという特性上、ユーザや権限の管理が重要になります。
そのような特性を踏まえ、企業でオンラインストレージを導入する上で必要となる管理機能をまとめました。
1.ユーザ管理機能
企業でオンラインストレージを導入する際に最も気を付けなければならないのが、社外への情報漏えいのリスク対策です。
企業では新入社員や退職者等の従業員の出入りも発生します。例えば、退職者から適切なタイミングでユーザ権限を剥奪しないと、情報漏えいが発生するかもしれません。また、従業員数が多い企業でオンラインストレージを導入する場合、ユーザ登録を一括で行えないと登録作業に大きな負担がかかってしまいます。企業でオンラインストレージを導入するには、スムーズなユーザー登録、権限管理ができるサービスをおすすめします。
2.グループ管理機能
企業の規模によってはユーザー管理に加え、部署毎の「グループ管理」も必要な機能となります。重要度の高い開発や人事など機密情報については、アクセスできる部署を限定したい場面が多々あります。アクセス権の管理をユーザー毎に行うと作業負担がかかり、ミスも発生するかもしれません。しかし、部署毎に一括で権限管理できれば、その心配はありません。企業でオンラインストレージを導入する際には、グループ毎に細かなアクセス権限を設定できることも選定のポイントになります。
3.アクセスログ管理機能
企業でオンラインストレージを利用するなら、管理者がコンソール画面などで誰がどのファイルにアクセスしていたかを確認できる「アクセスログ管理機能」も欲しい機能です。アクセスログを確認できれば、万一の情報漏えいやデータ消失などが起こった際の原因追及をスムーズに行うことができます。
また、オンラインストレージを使って、社外の方とのファイル共有を行うケースでも、アクセスログを確認できれば安心です。
法人向け人気のオンラインストレージの管理機能とコストを紹介
ここからは、以上のポイントをふまえたうえで、法人向けに人気があるオンラインストレージについて管理機能とコストを比較して、ご紹介していきます。
1.Google Drive

GoogleからリリースされているオンラインストレージであるGoogle Driveは個人利用されている方も多いのではないでしょうか。G Suiteと呼ばれる法人用オンラインストレージを提供しており、ユーザーあたり月額680円からと、リーズナブルな価格設定となっています。
一元化された管理コンソールを利用したユーザーの追加削除や、グループの設定によるユーザー管理が可能です。コンソールからセキュリティ機能の設定やエンドポイント(どのデバイスからアクセスしているか)といった情報を管理可能です。
価格は、1ユーザーあたり、Basic月額680円、Business 月額1,360円、Enterprise 月額3,000円となっています。なお、アクセスログの管理機能はEnterpriseプラン以上に実装されます。
2.Box Business

法人向けのBusiness以上のプランでは容量無制限、最大ファイルサイズ5GBと大容量ストレージを利用できます。また、セキュリティ機能に定評のあるオンラインストレージです。
管理機能面としては、リストファイルのアップロード、ダウンロードによるユーザーの一括編集、グループ管理者の設定による権限移譲(グループ内の権限管理についてはグループ管理者に任せる)ことが可能となっています。一方、アクセスログ管理の機能としては標準で提供されておらずBusiness Plus以上の上位プランのみでの提供となっています。
価格は、1ユーザーあたり、Business 月額1,800円、Business Plus 月額3,000円、Enterprise 月額4,200円となっています。
3.DropBox Business

オンラインストレージの草分けともいえる「Dropbox」は、無料で気軽に導入可能なサービスです。法人利用を想定した「Business Standard」と「Business Advanced」の2種類がリリースされています。
ユーザーの追加削除といった基本的な機能はどちらのプランにもついていますが、閲覧者履歴やアクセスログ管理、管理者役割の階層化といった機能はAdvancedプランのみの提供となります。
価格は、1ユーザーあたり、Standard 月額1,250円、Advanced 月額2,000円となっています。
4.AOSBOX Business

AOSBOX Businessは、ユーザー単位の契約ではなく、ストレージの容量単位で契約するスタイルのオンラインストレージです。
ユーザー登録については、メールで招待、手動で追加に加えCSVファイルをアップロードすることで一括登録も可能です。
管理者側からコンピュータやユーザーを一時停止、削除することが可能となっており、万一の盗難時などの対応も万全です。
また、ファイルへのアクセスや削除など、ユーザーが実行した操作ログを管理者が閲覧できる監査機能も利用できます。「スマートレポート機能」で、把握しておきたいストレージの状況をメールで定期的に通知することもでき、管理者の負担を軽減させることができます。
価格は100GBで10名まで使えるコースが月額1,666円と、利用人数によっては非常にお値打ちに使えるサービスとなっています。
5.DirectCloud

DirectCloudはユーザー数無制限のオンラインストレージです。価格が30,000円/月~と、少し高めですが、利用人数が10人でも100人でも価格は同じなので、例えば100人で使えばなんと一人当たりのコストは300円となります。
管理機能としては、ユーザー登録はCSVファイルによる一括登録ができ、アクセスログ管理では業界トップクラスの162種類のログを取得できます。さらにスタンダードプラン以上を利用する場合には、Amazon OpenSearch Service(注1)の機能を使って、大量のアクセスログを瞬時に表示することが可能です。
※注1)Amazon OpenSearch Serviceは、ログ分析、リアルタイムのアプリケーションモニタリングなどを利用できる分析エンジン。
価格プランは、スタンダード(500GB 月額30,000円)、アドバンスド(1TB 月額50,000円)、ビジネス(3TB 月額90,000円)、プレミアム(10TB 月額180,000円)、エンタープライズ(30TB 月額300,000円)の5種類です。
10名以下のスモールビジネスの場合、他のサービスに比べ割高となる可能性がありますが、従業員数が多い企業であれば、管理機能の充実度も高くおすすめのサービスといえます。
法人でオンラインストレージを使うなら管理機能が充実したサービスをおすすめします。
本記事では、企業でオンラインストレージを選ぶ際のポイントとなる「管理機能」「コスト」について5つのサービスの比較を行いました。やはり、企業でオンラインストレージを使うなら、さまざまなリスクに備えて、管理機能がしっかりしたサービスを利用することをおすすめします。
コスト面においては、一見割高にみえるプランも、自社の状況によってはお値打ちに使える場合もあります。用途や利用人数にあったオンラインストレージを選びましょう。
下記では、ご紹介した5つのサービス以外の法人向けオンラインストレージもご紹介しています。ぜひ参考にしてください。