2023年に入って生成系AIが頻繁に話題に挙がり、耳にされた方も多いかと思います。とはいえ、何ができるかは分かっているものの、どんな業界に適正があるのか、どういった場面で利用すれば業務効率化につながるか、イメージが湧かないという方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、B2B向けIT製品/SaaSのレビュープラットフォーム「ITreview(アイティレビュー)」に寄せられたChatGPTへの163件(23年9月時点)のユーザーレビューを、ChatGPTを用いて分析しました。ユーザーレビューから見えた多様な活用方法とその効果について解説していきます。
業界・ユーザーの立場・使用用途における傾向
業界別の傾向
まず始めに、どのような業界にて利用されているかの傾向について解説していきます。
もっとも利用されているのは「人材」や「ソフトウェア・SI」といった業界です。この業界での使用が多いのは、IT技術やAIとの親和性が高いからだと考えられます。特に人材業界では、求職者や企業とのマッチング、面談のスケジューリングなど、煩雑な業務が多く、自動化や効率化が求められており、ChatGPTのようなAIツールがマッチすると考えられます。
また、「ソフトウェア」や「SI業界」では、技術的な問い合わせやサポートが必要な場面が多いため、ChatGPTを用いて24時間365日のサポート体制を実現する企業も増えてきています。
ユーザーの立場における傾向
ITreviewでは一般的な利用者であるユーザー(利用者)・導入決定者・IT管理者・ビジネスパートナーといったユーザーごとの導入における立場のデータを取得していますが、この中ではIT管理者およびユーザー(利用者)からの評価が高く、多くの用途で使用されています。
IT管理者は、システムとの統合やAPIの活用に関する知識が豊富であり、汎用的に利用可能なChatGPTの機能を最大限に活用することができるため、高い評価をしていると考えられます。
一方、一般のユーザー(利用者)は、日常業務の中での問い合わせや情報検索など、具体的なタスクを効率化するためのツールとしてChatGPTを活用しています。
具体的なChatGPTにおける活用方法の紹介
社内チャットツールとの連携
社内でのコミュニケーションツールとして利用されるSlackやTeamsにChatGPTを組み込み、「AI相談室」としての活用しているというユーザーレビューがありました。社員が業務中に疑問や質問を持った際に、リアルタイムに回答を受け取ることができるため、業務の効率化が図れると推測できます。
ユーザーレビュー抜粋:社内の業務効率化に一役買ってます
社内チャットツールとChatGPTを連携し、AI相談室という部屋を作りました。
https://www.itreview.jp/products/chatgpt/reviews/165712
業務上での情報収集
ウェブサイトや社内データベースなどからの情報収集としてChatGPTを活用することで、迅速な対応が可能となります。通常、人力で対応した場合には調査のための工数がかかりますが、この機能により、プログラミングにおけるコードの書き方の相談や製品価格の調査などに活用しているユーザーも見られました。
ユーザーレビュー抜粋:自分にとっての良き”秘書”として使うことをおすすめします。
「自分がやらなくてもよかった単純な作業」などはChatGPTにまかせることができるので、業務効率化につながると思います。
https://www.itreview.jp/products/chatgpt/reviews/166117
データ分析と連携
ChatGPTが収集した質問や回答のデータを分析することで、ユーザーのニーズや傾向を把握することが可能です。この機能を活用し、より精度の高い回答や新しいサービスの提案・情報のまとめに活用するユーザーもいます。
ユーザーレビュー抜粋:分析に使える
今までのGoogleの検索のように使用するのではなく、分析が得意かなと感じる。例えば県庁所在地ごとの人口を一覧で出力する等、今までの検索では1つ1つ検索する必要があったが、まとめて検索、出力が可能。今までは検索の結果を人手で一つ一つ整理する必要があったが、その手作業をまとめて実施してくれるので検索だけでなくその後のまとめ作業も同時に実施してくれるのでその手間や時間を削減できる。
https://www.itreview.jp/products/chatgpt/reviews/166181
思考の可視化
ChatGPTに問題解決のアイデアや提案を投げかけることで、従来の方法や考え方に囚われず、新しいアイデアや解決策を考え出すことが可能です。
得られた回答や提案をもとに新しい視点や発想を得ているレビューをご紹介します。
ユーザーレビュー抜粋:多すぎるプラグインの組み合わせが使いこなすコツ
実際の商品開発で活用しており、ランダムなペルソナ設定とテーマに対するアイデアを組み合わせて、付加価値の高い順にアイデアと根拠をテーブル形式でまとめるプロンプトを作成して、様々な商品アイデアを創出しています。しかしなかなか目新しいアイデアは出ないので、独自のバイアスを壊すフレームワークノートを組み合わせて、さらに新規性の高いアイデアに昇華している。
一発で成果物を生成するゴールシークというプロンプトを学習したが、結局「問い」を設定して、AIと対話しながらゴールを目指す方が汎用性が高く、深い回答が得られる。
プラグインが大量に出てきているので、これからはその研究が成果物の質を高めるポイントになると思われる。
https://www.itreview.jp/products/chatgpt/reviews/166216
ユーザーレビュー抜粋:無いころには戻れない
思考の整理(壁打ち)にとても役立ちます。
考えている事や整理したいことを入力していくと、バイアスのかかってない返事がきます。
このバイアスのかかってない返事というのがとても大事で、余計な思念が無いので純粋な判断が出来るようになります。
また返事から、自分の中で新たな考えが生まれ、枝葉するようにどんどんとアイデアが生まれより良いものになっていきます。
その返答から得られる元になるのはあくまでも自分の考えなのですが、思考の広がりはドーピングしたような感じで、今まで見えていなかったものが見えてくる感じがあります。
ものすごく有能な仕事のパートナーがいる様です。無かったころには戻れません。
https://www.itreview.jp/products/chatgpt/reviews/166273
ユーザーレビュー抜粋:文章の生成能力は良いが、精度には少し問題がある。
まだ試行錯誤しながらの使用ですが、〇〇の数字を上げるにはどうすればよいか?等の質問で、主にアイデア出しにて使用しています。
https://www.itreview.jp/products/chatgpt/reviews/166275
ChatGPTの活用で得られた効果
時間の削減
ChatGPTを活用することで、調査業務や質問・問い合わせに対する回答など、時間が大幅に短縮されるため、業務の効率化が図れます。上述での使用例でもあったとおり、様々な業務で社員の工数負荷を軽減することができます。
ユーザーレビュー抜粋:会話するだけで知りたいことを教えてくれる
応用の幅が広く様々なことを効率化できます。文字の羅列を表にまとめてもらったり、あらゆる挨拶文の文章を考えてもらったり、アンケート内容の事例を教えてもらったりこれまで情報収集に時間が掛かっていたものが聞くだけでかえってくるので大変助かります。
https://www.itreview.jp/products/chatgpt/reviews/166448
チェックの質の向上
以下のレビューでは、ChatGPTにより事前にチェック時の検討項目をあげてもらうことで、オペレーション業務時のうっかりミスの削減に活用しています。このような項目のピックアップはデータの収集から必要項目の検討まで時間がかかることが予想されますが、ChatGPTにより事前にミスが起こりうる要素を指摘してもらい、それをもとにチェック事項を作成したとのことです。
ユーザーレビュー抜粋:事前に問題が起こりそうな事象を洗うことができる!
人間の作業でのうっかりミスをなくすことができた。
ChatGPTに事前の検討項目あげてもらい、チェックリストとして使うことでうっかり忘れたなどを回避することができた。
https://www.itreview.jp/products/chatgpt/reviews/166171
口語入力の利点を活かした業務効率化:
ChatGPTでは複雑な命令文を使用しなくても、人間同士での対話のようにタスクを命令することが可能です。複雑なデータの検索や文書の自動作成など、従来では改善に複雑な処理が必要であった業務でもChatGPTを活用して効率化しているユーザーも見られました。
ユーザーレビュー抜粋:業務が完全にアップデートされた
確かに全部が全部正しい情報ではなく、コピー&ペーストはできないがPrompt次第で大きな成果が生み出せる。業務効率化としては最高のAIである。また、当社ではSlackと連携しているが、これも非常に楽である。社員とコミュニケーションをする流れで、ChatGPTを呼び出して対話することで、自然な業務フローを組み上げています。
https://www.itreview.jp/products/chatgpt/reviews/166113
まとめ
いかがだったでしょうか。ITreviewとしてもChatGPTを業務活用するべく、ChatGPTへ投稿されたユーザーレビューをChatGPTを用いて分析するという初の試みを行いました。
作成については、
1.投稿されたレビューをChatGPTに一括で入力
2.入力したデータをもとにChatGPTを使い、原稿テキストを出力
3.出力された原稿テキストをチェックし、文章内の間違いや表現の修正
という行程で行っています。
通常の記事作成に比べ、構成案およびテキストの作成時における工数を大幅に削減できる効果を実感しました。しかし、文章内の間違いや表現については、通常の人間が作った文章よりも修正工数がかかり、まだまだ課題は多いという印象もあります。
とはいえ、いろいろな業務で活用することにより、課題とともに新たな利用方法も生まれてくるというのが新しい技術です。
データを扱うツールとなるため、機密情報などについては注意を払うことは必要ですが、ぜひ、みなさまの業務においても活用してみてはいかがでしょうか?
また、ITreviewでは今回ご紹介したChatGPTのユーザーレビューが見れるほか、生成系AIのその他の製品のユーザーレビューも取り扱っております。無料でご覧いただけますので、ご興味のある方はぜひ下記のリンクよりご覧ください。