世界最大のネットワーク機器メーカー「シスコシステムズ社」のホワイトペーパー(※注1)によると、2017年から2022年の6年間でビジネスIPトラフィックの年平均成長率は23%になると予測されています。ビジネスIPトラフィックの増加は、モバイル端末の増加や動画及び写真の高解像度化によるファイルサイズの増大が関係していると考えられています。

※注1 「Cisco Visual Networking Index(VNI):予測とトレンド、2017 ~ 2022 年 ホワイト ペーパー」
実際のビジネスシーンにおいても、取引先との間で共有するデータの大容量化が進んでいるように感じます。取引先に資料をメール送信したいけれども、容量オーバーのため添付できないという経験をされた方も多いのではないでしょうか。
その際、データを分割してメールに添付したり、USBメモリに保存して郵送するなど、さまざまな工夫をして取引先とファイル共有されていると思います。
しかし、このような方法は情報漏えいのリスクを考えると、必ずしも万全のファイル共有手段ではありません。なぜなら、宛先間違いや盗難、紛失のリスクがあるからです。
そこで注目されているのが、オンラインストレージを使ったファイル共有です。オンラインストレージを活用することで、ストレスなく、安全に大容量のファイルを取引先と共有できます。
本記事では、主に「転送容量」と「セキュリティ面」という2つの側面からオンラインストレージと他のファイル共有方法を比較します。そして、ビジネスシーンでファイル共有する際におすすめのオンラインストレージを3つご紹介します。
ファイル共有3つの方法とオンラインストレージの比較
取引先とファイル共有する方法は、オンラインストレージ以外に、「メール添付」「ファイル転送サービスの活用」「USBメモリ等の可搬媒体による受け渡し」が考えられます。これらの方法とオンラインストレージを使ったファイル共有方法を比較してみたいと思います。
1. メール添付 VS オンラインストレージ
OutlookやGmail等のメールサービスでは20MBまでのファイルが送受信可能です。企業等でメールサーバを運用している場合、5MB~10MBでファイルの容量制限を行っているケースが多いかもしれません。
メールの送信環境によっては、添付ファイルを分割して送付せざるを得ないケースもあり、非常に手間がかかります。その点、オンラインストレージでは、「ファイル容量無制限」「アップロードできるファイルサイズ無制限」といったサービスもあります。このようなオンラインストレージを活用すると、ストレスなくファイル共有することが可能です。
また、メールの場合は宛先を間違えて送信する可能性があります。一度ファイルを送信してしまうと、取り返しがつきません。しかし、オンラインストレージの場合には、共有リンクを無効にする機能があるため、送信後に共有を取り消すことも可能です。
2. ファイル転送サービス VS オンラインストレージ
「データ便」や「ギガファイル便」などのファイル転送サービスは、クラウド上にファイルをアップロードし、ダウンロードリンクからデータを受け取れるサービスです。ファイル転送サービスは、オンラインストレージのようにデータの長期間保存を目的としていません。そのため、データの保存期限が決まっています。保存期間内に取引先がデータをダウンロードしなければ、ダウンロードリンクを再送しなければいけません。
無料のファイル転送サービスでも、保存期間やパスワードの設定ができるサービスもあります。しかし、必ずしもセキュリティが万全とはいえません。実際2019年に、無料のファイル転送サービスにて、メールアドレスやパスワードを含む480万件もの個人情報が流出したニュースを見て不安になった方も多いではないでしょうか。
その点、オンラインストレージは、セキュリティ対策がしっかりしたサービスが多く、データセンターの物理的、技術的、組織的なセキュリティ対策、外部機関が公正な審査をして認証を与える第三者認証など、安心してファイル共有できる対策をしています。
3. USBメモリ等の可搬媒体による受け渡し VS オンラインストレージ
USBメモリやポータブルストレージなどの可搬媒体にデータを格納し、手渡しや郵送でファイル共有されている方も多いかと思います。この方法ならインターネット上で盗聴され、情報漏えいするリスクはないといえます。
一方で、USBメモリ等の可搬媒体の紛失・盗難といったリスクはつきまといます。JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)が「媒体・経路別漏えい件数」を調査(※注2)した結果、情報漏えい事件の10%以上がUSBメモリ等の可搬媒体に起因していると報告されています。
その点、オンラインストレージの場合、可搬媒体の紛失や盗難を心配する必要はありません。保存容量を比べても、オンラインストレージはUSBメモリに見劣りしません。従って、取引先とのファイル共有において、オンラインストレージを使わずにUSBメモリを使うメリットは小さいのではないでしょうか。
※注2 「2018年情報セキュリティインシデントに関する調査結果」
ファイル共有におすすめのオンラインストレージ3選
1.Box Business
取引先とファイル共有をストレスなく安全に行うためには、「万全なセキュリティ対策」と「大容量ファイルをストレスなく送付できること」が重要です。この2つの条件を踏まえ、取引先とのファイル共有におすすめのオンラインストレージを3つご紹介します。

「Box Business」はセキュリティ面で定評があるオンラインストレージです。共有リンクを使用して取引先とファイル共有する際には、パスワードや有効期限を設定できます。さらに、高度なレポート機能があり、アップロードやダウンロード、閲覧といったアクセス履歴をワンクリックで確認できます。
また、容量無制限のため「ファイルを残すか消すか」といった判断も不要となり、業務の効率化を図ることが可能です。アップロードできるファイルの上限サイズは5GBとなっており、ビジネスで利用する大抵のファイルは保存可能でしょう。
「フォルダのリンク共有」機能により、フォルダ単位でのデータ共有を簡単に行えます。1ユーザー1,800円/月と利用しやすいプラン設定も魅力の1つです。
・容量:無制限
・料金:1ユーザー1800円/月(最小3人から利用可能)
・最大ファイルサイズ:5GB
・主なセキュリティ機能:2段階認証、SSL通信及び256ビットAES暗号化、データ損失防止(DLP)、詳細な権限設定
ユーザーレビュー
容量無制限なので、データサイズを気にせずに格納できるのでとても便利です。また社内クラウドやサーバと異なり外部の方を招待できるので、大容量のデータ受け渡し無くBOX内で共有できるところが最大の魅力です
https://www.itreview.jp/products/box/reviews/33870
フォルダ管理ができる点、最終操作時間がわかる点、操作体系がシンプルな点、オンライン上での編集ができる点が大変便利です。共有リンクも作成できるので、社外の人とのファイルやりとりも簡単におこなえる点が非常に良い。
https://www.itreview.jp/products/box/reviews/31090
2.AOSBOX Business

「AOSBOX Business」は、ストレージ容量100GBから利用でき、最大ファイルサイズは無制限のオンラインストレージです。共有したいファイルやフォルダへのパスワード設定、ダウンロードの有効期限設定、開封通知を設定することもできます。
クラウドインフラには信頼性の高いAWSの国内サーバを採用するなど、セキュリティは万全です。さらに、利用端末の位置情報や管理対象端末の使用状況を確認することができ、ユーザーやデバイスの管理面においても豊富な機能を利用できます。
・容量:100GB〜
・最大ファイルサイズ:無制限
・料金:1,666円/月〜
・主なセキュリティ機能:SSL通信及び256ビットAES暗号化、多様な管理者サポート、詳細な権限設定
ユーザーレビュー
導入がすごく楽。世代バックアップが簡単に取れる。メール等では送りづらい大きなデータも AOSBOX経由でセキュアに共有できる。
https://www.itreview.jp/products/aosbox-business/reviews/32512
PCデータのバックアップの他に、データバックアップ(アップロード)したデータを他社へ受け渡すような設定を行なったが、強固なセキュリティを保ったままデータ連携することができた。
https://www.itreview.jp/products/aosbox-business/reviews/35075
3.Dropbox Business

「Dropbox Business」には、StandardとAdvancedという2種類のプランがあります。Standardは、使用できる容量は5TB、最大ファイルサイズは2GBのプランです。Advancedプランを利用すると、容量は無制限(※注3)、最大ファイルサイズが100GBとなり、ファイルサイズを気にすることなく利用できます。
Advancedプランは、管理コンソールを利用して、「監査ログの確認」や「デバイス端末の承認」など多様な管理者サポート機能も利用できます。
・容量:Standard 5TB、Advanced 無制限(※注3)
・最大ファイルサイズ:Standard 2GB、Advanced 100GB
・主なセキュリティ機能:2段階認証、SSL通信及び256ビットAES暗号化、共有リンクの管理機能、管理コンソール(Advancedプランのみ)
※注3 ニーズに合わせた容量追加について、Dropboxに問い合わせが必要。
ユーザーレビュー
Business版を使い始めたばかりです。アップロードのスピードは他サービスに比べて確かに早く、安定しています。ブラウザでアップロードした場合はそれほどでもありませんがDropboxフォルダへのドラッグ&ドロップの場合はかなり高速な印象です。Business Advanceの契約なので容量を気にしなくても良いのは嬉しいところです。
https://www.itreview.jp/products/dropbox-business/reviews/35410
ExplorerやFinderのように直感的にフォルダー作成ができ、ファイル検索も簡単です。ファイル共有も期限付きやパスワード付きも可能なので、セキュアに共有することが出来ます。特段不便なところは見当たらないです。
https://www.itreview.jp/products/dropbox-business/reviews/33115
まとめ
「メール添付」「ファイル転送サービス」「USBメモリ等による可搬媒体」といった一般的なファイル共有手段とオンラインストレージを活用したファイル共有について比較し、オンラインストレージを使ったファイル共有には、「転送容量」と「セキュリティ面」で利点があることをご紹介しました。
レビューや機能一覧をご覧いただき、自社にあったオンラインストレージを選択することをおすすめします。
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ユーザーによる顧客満足度をベースに、自社に最適なオンラインストレージを選ぼう。