現在、オンラインストレージはいろいろなサービスが提供されています。今回はその中でもAmazon Driveについて紹介し、そのメリットやデメリット、法人利用への適性についても解説していきます。
目次
Amazon Driveとは

Amazon Driveはネット通販大手の「Amazon」が提供するオンラインストレージサービスです。Amazon会員であれば容量5GBまで無料で利用できます。Amazonへの会員登録は無料でできます。
なお、5GB以上の容量を利用したい場合は有料となり、その料金体系は次の通りとなります
(参考:https://www.amazon.co.jp/photos/storage/plans)
容量 | 価格(1年間) |
100 GB | 2,490円 |
1 TB | 13,800円 |
2 TB | 27,600円 |
3 TB | 41,400円 |
4 TB | 55,200円 |
5 TB | 69,000円 |
6 TB | 82,800円 |
7 TB | 96,600円 |
8 TB | 110,400円 |
9 TB | 124,200円 |
10 TB | 138,000円 |
20 TB | 276,000円 |
30 TB | 414,000円 |
Amazonプライム会員(年間4,400円)であれば、写真の保存容量が無制限となるAmazon Photosのサービスも利用できます。写真以外のファイルについてはAmazonプライム会員であっても無料で利用できる容量は5GBとなります。
Amazon Driveは法人利用に適しているか
ここではAmazon Driveのメリットとデメリットについて述べ、法人利用に適しているのかどうかを検証していきます。
Amazon Driveのメリットとデメリットについては次の通りです。
メリット
●Amazon会員に登録さえすれば誰でも利用できる。
Amazon会員に登録すれば、自動的に5GBの容量が付いてきます。会員登録は無料ですので、無料で5GBの容量が使えます。
●使い方が簡単
ブラウザでAmazon Driveのページに移動し、Amazon会員のアカウントでログインするだけで利用ができます。ファイルのアップロードは、ブラウザ画面にファイルをドラッグアンドドロップするだけで可能です。
また、ダウンロードはファイルを選択して「ダウンロード」をクリックするだけで利用できます。スマートフォン(iOS、Android)用のアプリも用意されており、スマートフォン上でもファイルのやり取りや閲覧が可能です。
デメリット
●PC用のアプリがAmazon Photosしかない
最近のオンラインストレージサービスは、専用アプリをインストールすることでクラウド上のファイルもPC上でシームレスに扱えるようになっています。
しかし、Amazon DriveではPC用アプリはAmazon Photosのものと兼用になっており、画像や動画ファイル以外のファイルに対しての操作性はあまりよくありません。
また、PC用Amazon Photosアプリでは、Windowsのエクスプローラーと同期させることや、MacにAmazon Driveをマウントして同期させることもできません。
●権限管理ができない
Amazon Driveも、他のオンラインストレージと同じようにファイルごとにURLリンクを生成し、それを共有したい相手に送付することでファイル共有することができます。
しかし、Amazon Driveにアップロードしたファイルに対しては、閲覧制限などの設定ができません。したがって、誤った相手にファイル共有リンクを通知してしまった場合には、本来見せたくない相手にも見られてしまいます。これでは、誤送信による情報漏えいのリスクが高く、機密情報を含むファイルを共有することはできません。
法人利用には限界がある
Amazon Driveは誰でも使える便利なサービスではありますが、管理機能やPC利用、そして大容量のストレージを使いたい場合の価格体系を考えると、あくまでも個人向けであり、法人利用に適しているサービスとは言えません。
法人向けの場合、Amazonが提供するオンラインストレージサービスであれば、Amazon Driveよりも AmazonS3のほうが適しているでしょう。
AmazonS3とは

AmazonS3(Simple Storage Service)はAmazonがAWS(Amazon Web Services)の1つとして提供しているクラウドストレージサービスです。
その特徴としては次のものがあります。
・99.999999999%のデータ堅牢性
・ファイル、ユーザーごとの細かなアクセス権限設定が可能
・完全従量課金制でデータ容量無制限
・サーバ側、クライアント側の暗号化サポート
・ストレージデータを利用したビッグデータ解析が可能
ただし、Amazon S3を法人で利用する場合には次のようなデメリットもあります。
●課金体系が複雑すぎる
容量、保管期間、アクセス頻度だけでなく、アクセス数やデータリクエスト回数、データの送受信回数や分析、レプリケーションなどファイルの操作に対し課金体系が細かく設定されており、あらかじめどのように利用するか明確にしておかないと、コストがどれだけかかるかわからない面があります。
Amazon S3の課金体系については以下のURLを参照してください。
https://aws.amazon.com/jp/s3/pricing/?nc=sn&loc=4
●設定が複雑である
通常のオンラインストレージサービスと違い、Amazon S3はAWSの1つのサービスとして提供されているため、AWSとの連携機能が充実しています。しかし、連携機能を確実に利用しようとするとS3だけでなく他のAWSサービスの設定も必要となります。
ビッグデータ解析等のAWSサービスと連携するのであればともかく、単純にバックアップやファイル共有をしたい場合のオンラインストレージとしてはAmazon S3では機能や設定項目が高度すぎて、あえて使うメリットはありません。
法人利用に適したオンラインストレージサービス3選
ここではAmazon DriveやAmazon S3に比べ、一般的な法人利用に適したオンラインストレージサービスを3つ挙げ、それぞれのサービスについて説明します。
1.Dropbox Business

Dropbox Businessは全世界で5億人が使用しており、世界的なシェアを誇るオンラインストレージサービスであるDropboxの法人向け有料版です。
シンプルなインタフェースによる操作性の良さやPCとの自動同期、暗号化、ファイルの復元とバージョン履歴、デバイスのデータ遠隔削除、2 段階認証(2FA)の有効化に加え、チーム管理のための管理コンソールや外部アプリケーションとの連携などの機能を備えています。
2.Box

BoxはアメリカのBox社が提供するオンラインストレージサービスです。セキュリティ面での機能が高く、主に企業を中心に導入が進み95,000社にて利用されています(2019年12月時点)。その内の70%がフォーチュン500企業です。日本でも多くの上場企業や大学などで利用されています。
Boxには容量無制限のプランや、100種類の拡張子に対応したファイルプレビュー機能、豊富な権限設定とコンテンツ共有機能、高度な暗号化によるセキュリティや使用ログのレポート確認機能などが付いています。
3.OneDrive for Business

OneDrive for BusinessはMicrosoft社が提供するオンラインストレージで、WindowsやOffice365との連携機能が充実しており、WordやExcelなどのドキュメントの共有がスムーズにできる点が評価されています。
OneDrive for Businessのプランには、サブスクリプションユーザーが5人以上という条件をクリアすると、容量無制限で利用できるものもあります。このプランでは高度なデータ損失防止機能も持っており、不正アクセスに備え、削除済みや編集済みのデータも保持しています。
法人で使うならAmazon Driveではなく、ビジネス向けのオンラインストレージをおすすめします。
今回はAmazon Driveの機能紹介と法人利用の可能性について解説しました。Amazon Driveは容量やセキュリティ、共有機能であまり法人利用には適しているとはいえません。
Amazonが提供する他のストレージサービスAmazon S3もAWSとの連携を前提としな
いのであれば、ファイル保存・共有のオンラインストレージとしては高機能、且つコスト高となります。
ご紹介した3つの法人利用に適したオンラインストレージサービス以外にも、法人で使えるオンラインストレージを多く紹介しておりますので、ぜひご覧ください。