良いポイント
最大の利点は驚異的なAutoCADとの互換性。これ許されるの?というレベルでAutocadと同一のUI・挙動をする。
誰しも慣れた業務環境を変更することには抵抗を感じるものであろうが、社内使用者はツールバーの配置を整える程度の調整ですんなりAutoCADから移行できた。
高額なサブスク化に傾倒するAutodesk製品からの乗り換えによる経費削減を検討している企業では第一候補になると思われる。
互換CADとして著名なAresシリーズのように、著作権対策として異なる用語を用いたり(「オブジェクト」→「エンティティ」など)もしていないため、Autocadユーザとの会話で齟齬が生じることもない。
日本では未だ広く受け入れられているjw_cad形式のデータを扱えるのもありがたい点。
改善してほしいポイント
①互換CADなので当然だが、Autocadの範疇を超えた独自の便利機能などは存在しない。
アプデ内容一覧を見れば分かるが、Autocadでは発現しないものを含むバグ(致命的なものもあり)を抱えており、開発規模の差から対応が遅い。
②別の互換CADで編集したデータを扱うことは想定していないのか、挙動に不安がある。'22では半透明に設定したはずのものが真っ黒に印刷されるなどの不具合が発生していた('23では修正)。これにより、「Autocadで印刷したときと同じように印刷できるかのチェック」という本来は必要のない業務が発生した。今後もいつ何時似たような不具合が発生するか分からないので懸念。
③ユーザ間の情報交換による問題解決を目的とした公式コミュニティが存在するが、ヘルプセンターによる検閲が行われている。都合の悪い情報を衆目に晒さないためか、不具合に関する投稿は徹底的に抹殺された。
win11環境における不具合など使用感について他ユーザに情報を求めようと思い投稿した内容だったのだが削除され、問い合わせたところ「不具合の内容についてご共有いただく事はできません」の一点張りで返され不信感が増した。
どのような課題解決に貢献しましたか?どのようなメリットが得られましたか?
1ライセンス・3年契約とした場合、AutoCAD2023が¥214,500に対して、IJCAD LTは製品¥55,000+サブスク¥13,750×3で¥96,250と圧倒的。現在試験的に5ライセンスほど導入しているが、経費削減という点で見れば前述の欠点を補って余りあるものだった。
また、もともと社内におけるCADユーザの操作習熟度は低く、AutoCADのダイナミックブロック作成などの豊富な発展的機能は宝の持ち腐れとなっていたので、機能が制限された最廉価グレードのIJCAD LTでも代用品として事足りた。使用者の能力に合わせた製品に入れ替えたことで、費用対効果が上がったと言える。