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Slackのカスタマーサクセス事例――世界1200万人ユーザーの利用状況の把握方法とは?

グローバルカスタマーサクセス担当が来日、「お客さまの声は全社への声としてフィードバック」

カスタマーサクセス事例:カスタマーサクセスの夜明けとは
 製品・サービス提供後も、顧客企業の成功を第一として積極的に伴走を続ける「カスタマーサクセス」を取り入れようとする動きが日本でも活発化し始めている。本連載ではカスタマーサクセスに取り組む企業とその立役者を連載形式で取り上げ、具体的な施策やうまく推進するための秘訣などを紹介する


 1日のアクティブユーザー数は、実に1200万人以上。世界150カ国以上で、ビジネスチームの生産性最大化を支援し、組織をまたいだオープンでスピーディーなコミュニケーションを可能にしているビジネスコラボレーションハブ、それが「Slack」だ。Slackなら、業務に必要となるさまざまなツールやサービスを統合できるだけでなく、コミュニケーションまで一元化できると、日本でも今、急速に利用者が増加の一途をたどっている注目のツールだ。

「Slackは、今までなかったような新しい働き方を提供するものであり、今後、企業内で使われているメールを置きかえるようなものになっていくと考えています」 Slack Technologies, Inc VP(ヴァイスプレジデント)兼グローバルカスタマーサクセス&サービス責任者 クリスティーナ コズマウスキー氏は、Slackの未来像を、そう語る。

 その新しい働き方という、Slackユーザーが享受すべき「価値」を提供していくことこそが、まさにカスタマーサクセスチームの重要な役割であることは言うまでもない。来日したコズマウスキー氏へ直接インタビューし、グローバルで行われているSlackならではのカスタマーサクセスの活動内容や指針、日本市場への期待などを詳しくお伺いした。また、Slack Japanカスタマーサクセス リードエンゲージメントマネージャーの石動 裕康氏には、特に日本独自で実施されているカスタマーサクセス活動や成功事例などを中心にお話をお伺いした。

お客さまがどういったビジネスの価値を重要視しているのか。カスタマーサクセスの実践には「聞く力」と「理解する力」が必要不可欠

――Slackにおけるカスタマーサクセス担当の役割や主な活動をご紹介ください。

 コズマウスキー氏:お客さまがSlackをお使いいただいて、ビジネスの価値を享受できるようにしていくということが、私たちカスタマーサクセス担当の役割になります。Slackを使うことによって、お客さまの業務が改善するかどうかということがとても重要なポイントです。

 また、お客さまの成功事例を集約しており、イベントなどを開催してお客さまが他社の成功事例を共有できる機会を提供しています。例えば技術的なトレーニングを実施することによって、お客さまが正しくツールを使ってSlackの価値を享受できるような環境を提供するといったことも私たちの役割です。お客さまの満足度が高ければ、そこからさらに機能の追加、契約の更新といったところにもつながっていくと考えております。

クリスティーナ コズマウスキー氏 Slack Technologies, Inc 
VP兼グローバルカスタマーサクセス&サービス責任者

 ――グローバル共通の活動指針には、どのようなことを掲げていらっしゃるのでしょうか。

 コズマウスキー氏: Slackでは、日本、そしてアジア・太平洋地域、オーストラリア、ヨーロッパ、北米といった地域ごとにカスタマーサクセスのチームが組織されていますが、どの国、どの地域であれ、それぞれのお客さまがどういったビジネスの価値を重要視していらっしゃるのかということを、私たちのほうで理解することがまず何よりも重要だと考えております。そのためには、私たちがきちんとした「聞く力」と「理解する力」を持っていることが大切です。

データ分析やAI活用通じてお客さまがどのようにSlackをご活用いただいているのか「成熟度」を測るマチュリティスコアといったものを導入しています。また、他のアプリケーションとの連携状況やメッセージの送信状況などについて、グローバルレベルと市場(地域)レベルでスコアを収集し、比較も行っています。その比較結果をもとに、それぞれの地域で必要となってくるカスタマーサクセス戦略を組み立てています。

 地域を問わず、お客さまが必要としている価値(Value)を提供できているかを測定するには、3つの評価軸を用いております。まず、お客さまがSlackへどれだけログインしているかを測る「導入(Adoption)」、そしてどれだけの機能をチャット以外でも使っているか、どれだけの業務を自動化できているのかといったことを測る「成熟度(Maturity)」、そしてお客さまがSlackのことをどのくらい気に入っていただけているのかという「感情(Sentiment)」。全世界のカスタマーサクセスチームが、この3つの軸でお客さまをスコアリングしています。

価値提供を測定する3つの評価軸

日本のお客さまは“Slack愛”が強い。その理由は、2つのチャンピオンズネットワーク

――グローバルの視点から、日本市場の特徴にはどんなことが挙げられますか?

 コズマウスキー氏: 日本はSlackにとって2番目に大きなマーケットなのですが、特に日本の特徴として挙げられるのが、「成熟度(Maturity)」のスコアが高いお客さまが多いということです。非常にうまくSlackをお使いになっているお客さまが多くて、例えばSlackを使ってワークフローを構築し、既にお使いのアプリケーションにSlackを連携して、Slackの中でコミュニケーションも取りながら業務を回していく。そのような日本の成功事例は非常に目を見張るものがあると感じています。

 また「感情(Sentiment)」の面においても、日本のお客さまの“Slack愛”というが非常に強いと感じています。組織の中で人とつながる、組織の透明性を高めるといった、いわゆる変革の勢いというのをユーザーの方々が感じていらっしゃって、それが“Slack愛”になって表れているのだなと思います。

――日本のユーザーの“Slack愛”が強いのは、日本で特別な活動を行っていらっしゃるからなのでしょうか?

 コズマウスキー氏: 日本では“働き方改革”という大きな動きがあり、おそらく働いている方々の中で、業務を効率化したいという機運が高まっているのではないかと思っています。それに、Slackがぴったりと適合しているということはあると思います。

 弊社のグローバルレベルでは、Slack愛を持つファン作りの施策として「チャンピオンズネットワーク」を運営しています。Slackを成熟したレベルで日々使っていただいているパワーユーザーの方、あるいはSlackに対して熱い気持ちを持っていただいているユーザーの方たちのネットワークで、実際に顔を合わせたミートアップの機会や、成功事例などを共有していただくフォーラムを開催しています。このチャンピオンズネットワークには、他のどの国よりも日本のパワーユーザーの参加が一番多いのです。

 石動氏: チャンピオンズネットワークには、実は2段階あります。導入された企業の中でのチャンピオンズネットワークがまずあります。これを日本では「アンバサダーネットワーク」と呼んでいるのですが、各部門で先導役のリーダーを出していただいて、そのリーダーの方たちを中心にSlackを広げていきましょうという施策になります。

 クリスティーナが説明したチャンピオンズネットワークは、各企業から代表の方を選んで、その方たちのネットワークを構築していきましょうというもの。私たち日本のカスタマーサクセスでは、特にお客さま向けのアンバサダーネットワークに力を入れています。私たちカスタマーサクセスマネージャーがユーザーの声を聞きながら、どう企業の中で価値を生み出していくのかを一緒に考えていくというプログラムを組んでいる点が、ユーザー愛が深まる理由の1つなのかと思っています。

石動 裕康氏 Slack Japan株式会社 カスタマーサクセス リードエンゲージメントマネージャー

 例えば、ヤフーさま。アンバサダーネットワークを作ってSlackを社内に浸透させていきました。電通デジタルさまも最初「Slackって何?」というところから、一緒に新しい働き方を作っていきました。また、カクイチさまはアンバサダーネットワークのプログラムを使うことによって、100カ所ある事業所の90%の方が数カ月で使い始めるくらい、Slackの早期定着を実現しています。

お客さまからいただいた声は、カスタマーサクセスチームに向けられた声ではなく、Slack全社に向けられたメッセージ

――あるSaaSベンダーのカスタマーサクセス担当は、ユーザーの声を全部Slackに入れて、エンジニアチームへリレーする情報を仕分けしているという話を聞いたことがあります。カスタマーサクセスをうまく回していくためのエンジンにSlackがなる可能性もありますよね?

 コズマウスキー氏: そうですね。私自身も社内でSlackを使うことによって、お客さまからいただいた声などを全社的に共有する時に、非常に効果的なツールであることを日々実感しております。お客さまからいただいたコメントや声は、カスタマーサクセスチームに向けられた声ではなくて、全社に向けられたメッセージであると捉えるべきです。Slackを使うことによって、社内で共有するべき情報を全社へつなげることができるようになり、その情報をもとにさまざまなアクションを起こすことができるようになるというのが非常に大きいと思っています。

――では貴社では、お客さまの声をどのように集めていらっしゃるのでしょうか?

コズマウスキー氏: 弊社ではいくつかのアプローチがあります。まず1つ目としては、ユーザーリサーチ。パートナーと組んでお客さまの声を調査し分析を行っています。

また、弊社ではエグゼクティブビジネスレビューを開催しております。実際にSlackをお使いいただいているお客さまと対面式のミーティングを開催し、お客さまが求めている価値を私たちは提供できているのか、お客さまの期待と弊社の製品との間にギャップはないか、満足いただいているのか、といった声をお伺いしています。必要に応じて、製品の改修に関わる情報を開発チームなどへフィードバックしています。

さらに弊社では、レッドアカウントプログラムというものも構築しております。重大な問題を抱えていらっしゃるお客さまがいらっしゃる場合、そのお客さまをレッドアカウントとして認識し、そのお客さまが抱えている問題を解決する手当がないのかを検討する対策チームを構築します。

――レッドアカウントは、どのように判断されるのでしょうか。

 コズマウスキー氏: レッドアカウントになるお客さまというのは、Slackから十分に価値を享受できていないと感じていらっしゃるお客さまです。必要な機能があるのに、それがSlackから提供されていない、あるいはきちんとアカウントのケアができていないなどが原因として考えられますが、アカウントマネジメント上の問題があるということであれば、お客さまに価値を理解していただくために必要となる適正な人材を配備します。お客さま側での経済的な課題があって、価値が十分に享受できていないという場合は、どのようにして問題を取り除くことができるのかということを検討します。

――多くのカスタマーサクセス実践企業がヘルススコアを用いて、顧客をカテゴライズする手法を採用していますが、貴社の場合はいかがでしょうか。

 お客さまの状況は、4つの観点から把握します。まず「利用状況(Usage)」。お客さまがデーリーでSlackにログインしてくださったのかどうかというスコア。2つ目が「メッセージング機能(Messaging)」で、これはSlackの中のチャンネルを使ってメッセージのやりとりをしているかどうかを測定しています。そして3つ目が「プラットフォームの活用状況(Platform)」。ただのチャット機能としてだけではなくて、他のアプリケーションとどれだけ連携しているか、どれだけワークフローを使っているかというスコアになります。そして最後が「パワーユーザー(Power Users)」で、Slackを大いに活用しているユーザーがどれだけいるかというスコアです。これらを合的に評価し、課題のあるアカウントに対しては、必要なプログラムを実行する形になっています。

利用状況を把握する4つの観点

一緒に操作をしながらSlackを覚えていく。日本独自のインタラクティブなオンライントレーニングを開催

――カスタマーサクセスチームの評価軸には、どのような項目があるのでしょうか。

 コズマウスキー氏: グローバルで、経常利益をもとに評価を行っておりまして、どれだけお客さまが増えているのかということと、増えたお客さまがどれだけSlackを使い続けていらっしゃるかということをもとに評価をしています。あわせて、お客さまがどれだけ気に入っていただいているかというNPS(ネットプロモータースコア・顧客満足度調査)やマチュリティスコアなども、評価軸として参考にさせていただいています。特にアクティブにお使いいただいているユーザー数がどれだけあるのか、ただ登録しているユーザーだけではなくて、積極的かつ定期的に使っていただいているユーザーがどれくらいいるのかというのは重要な数値ですね。

――日本独自の活動や取り組みはございますか?

 石動氏: ユーザーに対して、オンライントレーニングを毎月1回開催しているのですが、日本独自のやり方で実施しています。ただ見て覚えるだけではなくて、実際私たちのSlackのインスタントに入っていただいて、一緒に操作をしながら覚えていくという、とてもインタラクティブなトレーニングを開催しています。終わった後にアンケートを取っているのですが、9割以上のお客さまが満足した、もしくは大変満足したという回答をいただき、かなり好評です。

――お話をお伺いしていると、Slackという会社の中で、カスタマーサクセスがとても重要なポジションにあるという印象がします。最後に、カスタマーサクセスに取り組んでいる企業へのメッセージをいただけますか。

 コズマウスキー氏: Slackの全業務のまさに中心にカスタマーサクセスが位置していると言っても決して過言ではありません。お客さまがどういった価値を享受なさっているのかというところに重点を置いている、Slack全社でそこに集中して注力しているということは、私たちカスタマーサクセス担当のやりがいでもあります。

 企業の中でカスタマーサクセスの文化を構築する、その手伝いができるチームを作っていくということがカスタマーサクセス実践の要であるというふうに私は感じています。こういったチームを構築していくところに投資を早急に行っていくことが成功の秘訣であるというメッセージをカスタマーサクセスに取り組む企業へ贈りたいと思います。

取材にご協力いただいたSlack Japan 株式会社の製品レビューはこちら

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