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カスタマーサクセスでなく“カスタマーエンゲージメント”。 マルケトの顧客との向き合い方と、人気のユーザーコミュニティーとは

 米国で一大潮流となっている「カスタマーサクセス」。製品・サービス提供後も、顧客企業の成功を第一として積極的に伴走を続けるカスタマーサクセスを取り入れようとする動きが日本でも活発化し始めている。本連載ではカスタマーサクセスに取り組む企業とその立役者を連載形式で取り上げ、具体的な施策やうまく推進するための秘訣などを紹介する。


 「カスタマーサクセス」実践の基本は、顧客との接触(タッチ)だ。頻繁に打ち合わせを行い、顧客の成功のための戦略や指針をすり合わせるハイタッチの顧客もいれば、必要に応じてのみ直接打ち合わせを行うロータッチの顧客もいる。それら全ての顧客と効率的かつ効果的に接触できる仕組みとして、多くのITサービス事業者が構築しているのが「ユーザーコミュニティー」だ。

 今回は、MA(マーケティングオートメーション)の「Marketo」を提供し、そのユーザーコミュニティーが話題となっている株式会社マルケトを紹介。よくあるコミュニティーとは一味も二味も違う「熱量のあるユーザーコミュニティー」とは? 同社のカスタマーサクセスをけん引する小川高史氏にお話を伺った。

永続的に、Marketoユーザーの成功を支援していく。だから、カスタマーエンゲージメント

――貴社では、「カスタマーサクセス」と言わずに、「カスタマーエンゲージメント」と呼称されています。それには、何か理由があるのでしょうか?

小川氏:一過性の成功ではなく「永続的に」お客さまの成功を支援していくのが私たちの役割。だから、一般的にはカスタマーサクセスですが、弊社では「カスタマーエンゲージメント」と再定義しています。私が担当している2つの部門、1つは、コンサルティング部門ですが、こちらはMarketoを導入していただいたお客さまが目的に合わせて使っていただけるようコンサルティングしていくことが役割です。

 もう1つのカスタマーエンゲージメント部門は、お客さまと伴走しながら、よりMarketoの活用を進めていただき、永続的に成功を享受できるような支援を行うことが役割になります。

小川 高史氏
株式会社マルケト カスタマーエンゲージメント本部 カスタマーエンゲージメント&コンサルティング部長

――貴社がカスタマーエンゲージメント(カスタマーサクセス)に取り組むようになったのは、いつ頃からでしょうか?

小川氏:カスタマーエンゲージメントの思想は最初からありました。日本法人は2014年に事業をスタートしたのですが、2015年末にカスタマーエンゲージメントの専任者を置き、2016年度から具体的な活動を始めています。当時のミッションは、「ユーザーコミュニティーを活性化させる」というもので、カスタマーエンゲージメントを実践する環境は、ある程度整ったといえます。

――カスタマーエンゲージメントの実践には、顧客の声をどのように聞き、どうやって生かしていくかが鍵になると思います。その点、貴社は、どのように取り組んでいらっしゃるのでしょうか?

小川氏:これまでは、お客さまへ訪問しヒアリングを行い、その声を社内へフィードバックしていましたが、正直、体系的に取り組んでいたとはいえませんでした。その反省を生かし、現在は定型化した2種のアンケートを作成してお客さまの声を集めようとしています。1つは主にMarketo製品に対する満足度を測るアンケート、もう1つはお客さまの経営戦略や目標、達成度などをうかがえる内容を作成しており、お客さまのニーズに合わせきめ細かな提案ができるように整備しています。これらは今後本格的に稼働する予定です。

導入理由の1つに「ユーザーコミュニティー」を挙げるユーザーも。その理由は?

――カスタマーエンゲージメントを実践する環境として、貴社には「熱量のあるユーザーコミュニティー」がありますね

小川氏:そうですね。私も入社前は、「これだけユーザーグループが盛り上がっているのだから、よほどいい製品なんだな」と感じていました(笑)。カスタマーエンゲージメントは、Marketoを使っていただいている全てのお客さまが対象になります。しかし、全てのお客さまに、毎回訪問して支援していくことがなかなか難しい。申し訳ないことですが、個別に対応していくことが難しいお客さまについては、ユーザーコミュニティーという仕組みを中心に支援させていただいています。

 面白いのは、日本法人のスタートアップ時には、日本でも勢いのあるお客さまにMarketoを使っていただいていたので、こちらが仕掛けなくても、ユーザーであるマーケターさま同士が自然とMarketoのノウハウを共有し始められたことです。あるお客さまが「こんな使い方して大丈夫かな?」とコミュニティーにアップすると、「大丈夫、大丈夫」と、私たちではなく、熟練したお客さまが答えてくれる。それは次第に、Marketoの使い方だけでなく、「そもそもマーケティングって、どうすれば成果が上げられるのか」といった本質な議論をする場として、このユーザーコミュニティーが活用され始めました。

 それがさらに発展して、いまではユーザー分科会という業種別、テーマ別のワーキンググループもたくさんでき、それらの開催自体もユーザーさまが主導してくださっています。人材業界のマーケターさまが集い、競合企業であっても自社のナレッジを共有し合う「HRKETO(ハルケト)」、女性のマーケターさまが集う「FEMIKETO(フェミケト)」など種類はさまざま。このように、お客さま同士が自然と交流していただいているのは、とてもありがたいことだと感じています。

女性のマーケターが集う「FEMIKETO」の様子

――ユーザーコミュニティーを立ち上げてもなかなか活性化しないことに課題を抱えている企業も多い中、なんともうらやましい話ですね

小川氏:Marketoの製品サポートに終始していたら、ここまで盛り上がっていないと思います。私たちの「お客さまのビジネスの成功に貢献したい」という本気の思いをマーケターの方々に受け取っていただき、その皆さまがMarketoを自分自身で使いこなして成功を実現されている。そしてその成功を独り占めするのではなく、ノウハウを仲間のマーケターに広げる基盤として積極的にコミュニティーをご利用いただいているのだと思います。

 実際、Marketoユーザーとして実績を積み上げられた方が社内外でキャリアアップされているケースも出てきています。多くのMA製品の中からMarketoを選んでいただいた理由に、「熱量のあるユーザーコミュニティーがあるから」を挙げてくださるお客さまも少なくありません。

カスタマーエンゲージメントの行動プロセスを体系化。顧客支援の仕組みも、さらにもう1つ

――そんな活性化したユーザーコミュニティーをベースに、いま取り組もうとされていることは、何かありますか?

小川氏:2つあります。1つ目は、個別対応が必要なハイタッチのお客さまに対して、何を聞いて、どういうチェックをすれば課題が把握できて、それに対してどういった支援をすべきなのか、といったカスタマーエンゲージメントの行動プロセスを体系化しました。加えて半年に1回、お客さまの経営層に対し、Marketoを使って、当初の目標は達成されているか、どのような成果が上がっているかなどを、きっちりとビジネスレビューしていくことを実践しようとしています。

 2つ目は、弊社には先に挙げたユーザーコミュニティーという優れた仕組みがありますが、それに加えて顧客支援の仕組みをさらに1つ準備しています。例えば、機能が多くて使いづらい、分かりづらいという声は少なからずあります。通常ですとカスタマーサポートサイトをご利用いただくことになるのですが、「いまやっているから、いま回答が欲しい。どこに情報があるか分からない」という方も多い。その困り事をカバーするために、チャットによるお問い合わせを受ける仕組みを用意しようとしています。何か困ったことがあれば、チャットですぐに解決策のサイトに誘導したり、ユーザーコミュニティーに記事があれば、それを紹介したりしていく予定です。

――SaaS型のサービスは、その顧客の利用状況が把握できる。例えば、顧客の声が挙がらなくても、利用状況を見ていれば、先んじた対応ができると思いますが、そのような取り組みはありますか?

小川氏:従来、お客さまの利用状況はモニタリングしていますが、それは機能を使われているかどうかという範囲に止まっていました。2018年には米国本社によって、機能ごとの利用度が解約とどう相関するのかが数値化され、解約に至らないためにモニタリングすべき6つのポイントが導き出されました。日本でもそのポイントを参照してカスタマーエンゲージメントに活用しようと試みているところです。

社会に出たら、まずカスタマーエンゲージメントを経験すべき

――最後に、これからカスタマーエンゲージメントに取り組もうとする企業や推進者に向けて、メッセージがあれば、お聞かせください

小川氏:カスタマーエンゲージメントに携わる人は、お客さまのビジネスを成功に導く役割を持つ人です。当然ですが、ある程度経験を積んだ人が実践していくということが、通常です。でも、私は逆の発想を持っており、キャリアの早い段階で、カスタマーエンゲージメントを経験したほうがいいと思っています。それは、カスタマーエンゲージメントの考え方や理念を早い時期に学んで、お客さまが自社の製品に対して、どういった意見を持っているのか、どういった課題があって、どうして解約に至ってしまうのと考える経験が、営業なり、コンサルタントなり、テクニカルサポートなり、そのあとのキャリアを進む上で重要な財産になると思っているからです。

 お客さまと同じ方向を見ることの重要性に気付くのは、早ければ早いほどいいのではないかと感じています。実際、弊社は昨年、初の新卒採用の新人を迎えたのですが、その新人をカスタマーエンゲージメント部門に配属し、お客さまとのコミュニケーションを通じて、カスタマーエンゲージメントを体感するようにしています。


取材にご対応いただいたマルケトの製品レビューはこちら

 ・Marketo

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