仕事を効率的に進めるために欠かせないのがタスク管理です。タスクとは、取り組むべき業務や作業を1つずつに分解したもので、リストにしたり別々の人に割り振ったりすることで業務効率化を図ります。
従業員1人ひとりが細かなタスクをこなして積み上げていくことで、大きなプロジェクトもスムーズに進められます。つまり、タスク管理は目標達成のための一歩といえるでしょう。
各自の進捗を把握し、適切にタスクを割り振りするタスク管理は従業員のフォローにつながるため、現場においても管理側においても重要です。
目次
タスク管理で押さえるべき3つのポイント
タスク管理を進めるうえで押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

1. 緊急度・重要度を軸に優先順位をつける
タスク管理をするためには、各タスクに優先順位をつけます。作業を細分化したものの、優先順位を決めておかないと何から手をつけてよいかわからなくなるからです。タスク管理は効率よく作業を行う目的があるため、優先順位が低いタスクを進めると作業が滞ってしまいます。
棚卸ししたタスクはできるだけ細分化して具体的なタスクに落とし込みます。抽象的なタスクだと「どのような行動をすればよいのか」「何をもってタスクの完了とするのか」といった「やるべきこと」が見えにくくなってしまうので、タスク管理には不向きです。
ポイントは、「緊急度」と「重要度」です。
すぐに取りかかる必要がある「緊急度」の高い作業や、抜け落ちてはならない「重要度」の高い作業の優先順位を高めると、テンポよく進捗確認ができるでしょう。
たとえば、洗い出したタスクは時間管理のマトリックスを活用して分類していきます。時間管理のマトリックスは、縦軸を「重要性」、横軸を「緊急性」にした図にタスクを分類して、タスクの優先順位を決める手法です。
2. かかる時間を把握する
1つのタスクに対して、どれくらいの時間がかかるのかを把握します。大きなプロジェクトを進めるうえで難しいのが、全体の作業時間がどれくらいかかるかが把握しづらいことです。しかし、タスク管理を行うと業務が細分化されるため、1つずつのタスクの時間から全体の作業時間を割り出せます。
もちろん、トラブルが起こったり予定と違う作業が発生したりする可能性もありますが、タスク管理をするとしないとでは、仕事にかかる時間を把握できるかどうかが違うでしょう。
3. 余裕のあるスケジュールを立てる
上司やクライアントに都度確認を取らないといけないタスクもあるため、一緒に仕事をする上司やチームメンバーのスケジュールを考慮した計画を立てます。締め切りの直前になって相手の都合がつかず、なかなか確認を取れないということにならないよう、余裕をもったスケジュール調整が必要です。また、確認してすぐに承認が出るかどうかはわかりません。修正がある場合には、再度確認をとる必要があるので、余裕のあるスケジュールを立てましょう。
また、紹介した3つのポイントをうまく押さえつつタスク管理ツールを使うことで、より効率的にタスク管理を行うことができるでしょう。ここからはタスク管理ツールについて紹介していきます。
タスク管理ツールとは?
タスク管理ツールとは、従業員のタスクややるべき仕事を管理して、毎日の作業や進捗状況を把握しやすくするツールです。
各タスクの開始日や完了日をリスト化できる機能や、どの人にどのような仕事が割り振られているのかを把握する機能をはじめ、タスク管理に便利な機能が揃っています。
タスク管理ツールでできること
タスク管理ツールの基本機能を見てみましょう。
・タスク新規作成・追加・割り当て
タスクの新規作成や追加です。期日や内容を記載し、作業を割り当てるユーザーごとにタスクを作成します。つくったタスクには優先度をつけることも可能です。
・リマインド(アラート)
リマインド機能です。重要度・緊急度が高く優先度すべきタスクや、作業期日が迫っているタスクを知らせるため、自動的にメールなどで通知してくれます。
・共有
タスクの表示だけでなく、ほかのメンバーと共有したいファイルをアップロードして共有できます。タスクやプロジェクトについてコメントを入れることも可能です。
・表示切り替え(カンバン方式)
タスクをより見やすくするため、タスクの期日や現在の進捗状態、分類などを示した「カンバン」機能もあります。ボード上にタスク内容を記載したカードを並べ、作業段階ごとに分けて表示します。作業が進んで別の段階に進めば、カードも違う位置へ移り、最終的にはアーカイブされる仕組みです。作業が今どの段階なのかが一目でわかり、大きなメリットといえるでしょう。
・他製品との連携
パソコンから利用できるブラウザ版と、スマートフォンから利用できるアプリ版と連携できるツールをはじめ、ほかのチャットツールやファイル共有サービスと連携できるものもあります。
タスク管理ツールを導入するメリットとデメリット
タスク管理ツールを導入するとどのようなメリットやデメリットがあるのかを見てみましょう。

タスク管理ツールを導入するメリット
1.業務や進捗を可視化できる
プロジェクト管理ツールの基本的な機能として備えられているのが「進捗管理機能」です。進捗状況がチャートやグラフなどでわかりやすく視覚化できる機能が搭載されています。メンバーのタスクがどの程度進んでいるのかなどの情報が視覚的にわかるので、都度処理すべきタスクの優先順位がつけやすいです。
2.タスクの可視化で「抜け」「漏れ」を防ぐ
タスク管理ツールを使うと、やるべき仕事を可視化できるため、タスクの抜け・漏れを防げるのが大きなメリットです。タスク管理ツール上では複数のタスクを同時に管理できるため、混乱することなく担当者の割り当てや納期設定などが可能で、チーム全体のスケジュール管理がしやすくなっています。
3.情報共有がしやすい
作業の効率化と品質の向上のためには、メンバー間のコミュニケーションや情報共有は欠かせません。ファイルの保存や共有機能をもつツールでは、必要なファイルをメンバー間で簡単に受け渡すことができます。同じプラットフォームでいつでも全員が同じ最新の情報をメンバー間で共有できます。メンバー間のコミュニケーションやデータの共有をサポートする機能も、多くのタスク管理ツールで採用されています。
タスク管理ツールを導入するデメリット
タスク管理ツールを導入・利用する業務上のデメリットは少ないといえます。
1.コストがかかる
導入しただけですぐに業務の効率が上がるわけではありません。どんなに多機能でも、機能が自社の目的に合っていない場合は余計な手間が発生することもあるでしょう。また、多機能であるほど月額料金は高額になります。
2.使いこなせるまでに時間がかかる
導入にあたってコストや、従業員によってはツールに慣れるまで時間がかかることがあります。しかし、導入するツールによってはリーズナブルな料金で済むので、従業員に対してはマニュアル作成や研修などでフォローするとよいでしょう。
タスク管理ツールの選び方
タスク管理ツールを導入する際、その選び方にはポイントがあります。数あるタスク管理ツールの中から自社に合ったツールの選び方をご紹介します。
1.必要な機能が備わっているか
タスク管理ツールを選ぶ際には、まず自社に必要な機能は何かを明確にし、それで何が実現できるかを検証して選ぶとよいでしょう。
たとえ機能が充実していても、目的に合っていなかったり、使いこなせなかったりすれば無駄な出費が増えてしまうだけ。必要最低限の機能を備えたツールを選ぶのが賢明な選択です。多くのツールは基本的に次のような機能を搭載しています。
・ダッシュボード機能
・ToDoリスト
・担当者や期限の設定
・アラート機能搭載
・オフライン利用可能
・スマートフォン・タブレット対応
2.使いやすい操作性か
個人もしくはチーム全体が情報をしっかり更新し、かつ正しく把握することができるかどうかは非常に重要です。誰もが無理なく使えるか、操作性に優れているかを確認しましょう。多機能・高機能のツールでは使いこなせない人が出てくるケースもあります。
操作の仕方が難しく使いにくいものであれば更新が止まってしまったり、情報の表示方法がわかりにくければ、作業効率は下がったりしてしまいます。
3.目的と役割を共有する
チームやその関係者の全員にツールの使用目的とその役割・重要性を理解してもらうことから始めます。タスク管理ツールは、それぞれのメンバーの属性や環境に合った説明、使用法の周知が必要です。どういった場面でタスク管理ツールを用いればいいのか、チームで協力して取り組まないとどんなことが起きるのかなど、課題を想定して説明する工夫をしましょう。それが結果的にタスク管理ツールを上手に使いこなすことにつながります。
4.既存(外部)ツールと連携できるか
タスク管理ツール以外にも業務効率化につながるツールは多いため、それらのツールと連携できるかどうかをチェックしておきます。特に、すでに自社で導入しているツールがある場合には重要なポイントです。今後導入を検討しているツールがある場合も同様に、タスク管理ツールと連携できるか確認しておくとよいでしょう。既存のツールと連携できれば、1つのツール上でデータを一括操作・管理可能で、それぞれのツールで作業する手間も削減できて便利です。
5.サポート体制が整っているか
基本的にタスク管理ツールはドラッグ&ドロップなどの操作で簡単に入力できるものが多いですが、想定外のトラブルや使い方で迷うかもしれません。あるいはもっと新しい機能が欲しくなったりすることもあるでしょう。そのような場合に、すぐ問い合わせられるサポート窓口があると便利です。
タスク管理ツールの活用事例
タスク管理ツールを導入したことで得られるメリットについて、ITreviewに集まったレビューをもとに活用事例を紹介します。
一括で進捗状況が管理できるのでとても重宝
「このサービスの一番良い所はプロジェクトを跨いでフィルターを作成、管理できる事です。以外にこの機能がある管理ツールが少ないように思える(私が知らないだけ?)色々な案件、タスクを抱えていると他の人がもっているボールを追いかけていくのは結構な労力、時間、コストがかかるので一括で管理、進捗状況が管理できるのでとても重宝しております」
https://www.itreview.jp/products/backlog/reviews/59455
▼利用サービス:Backlog
▼企業名:HIROSEA ▼従業員規模:20人未満 ▼業種:旅行・レジャー
非エンジニアでもとっつきやすい
「非エンジニアでもとっつきやすい。プロジェクト進捗の社内統合管理ツールとして採用しやすいところ。歴史が長いので「ああBacklogね」とわかってもらえるところ、安定しているところが管理できるのでとても重宝しております」
https://www.itreview.jp/products/backlog/reviews/37152
▼利用サービス:Backlog
▼企業名:ヒトシステムズ合同会社 ▼従業員規模:20人未満 ▼業種:デザイン・製作
視覚的にわかりやすく、過去の記録をきちんとチェックできるようになった
「カンバンをさっと書いて、ドラッグ&ドロップするだけでタスク管理をできるビジュアル的な訴求性の高さがいちばんのポイント。ちゃんとローカライズされているので、職場のスタッフにもすぐに慣れ親しんでもらうことができた。アジャイル関連の用語を強制したりしていないところも初心者にやさしい理由だと思う。ミーティングしながらカードを移動すると達成感があるので、スタッフ同士で楽しめるようになった。数値化は難しいが、ミーティングが険悪になりづらくなった気がする。メールのようなスレッドよりも視覚的にわかりやすく、なおかつ全文検索ができるため、過去の記録をきちんとチェックできるようになった」
▼利用サービス:Trello
▼企業名:株式会社店研創意 ▼従業員規模:20-50人未満 ▼業種:デザイン・製作
https://www.itreview.jp/products/trello/reviews/72287
仕事を「やった」感を視覚的に管理できる
「カンバンでタスクを管理することで、自分に「これだけタスクをこなした!」という達成感のフィードバックがある点。また、カンバンをつくるのに必要な最低入力項目がタスク名だけなので、気負わずにタスクのステータスを登録していける。ブラウザ上での動作も軽快で、本来の業務を圧迫しない」
https://www.itreview.jp/products/trello/reviews/74963
▼利用サービス:Trello
▼企業名:式会社シー・アール・エム ▼従業員規模:100-300人未満 ▼業種:印刷
属人化の解消と業務標準化の実現を強力にサポート
「自由度が高すぎるアプリケーションだと使う人間のITリテラシーやセンスによって中身がバラバラになってしまいます。その点、toaster teamは適度にフォーマット化されているため全体のバラつき感が出にくい構成になっています。この点はものすごく重要だと思います。システムのレベルアップについても、スマホ対応や同時編集機能など、スピーディーに機能改善している印象があり、今後についても益々期待しています」
https://www.itreview.jp/products/toaster-team/reviews/65347
▼利用サービス:toaster team
▼企業名:Blue Works 税理士法人 ▼従業員規模:20人未満 ▼業種:会計、税務、法務、労務
おすすめのタスク管理ツール5選
実際にタスク管理ツールを使った企業の方々のレビューが多い製品を中心に、おすすめのタスク管理ツールを紹介します。
(2021年12月10日時点のレビューが多い順に紹介しています)
Backlog
従来のタスク管理ツールとは違い、シンプルでわかりやすい操作性に定評がある「Backlog」。カンバン方式、ガントチャート方式どちらにも対応しており、ブラウザからもアプリからも利用できます。タスク管理やファイル共有のほか、Wikipediaを使った文書管理も可能なため、あらゆる業務がこれ1つでまかなえます。
Trello
「Trello」は便利なカンバン方式で、タスクを1つずつ「カード」に記録してボードへまとめられるタスク管理ツールです。関係者全体がタスクを一目で把握でき、各タスクのステータスもすぐにわかります。情報はリアルタイムに更新され、全員が同じ情報を閲覧でき、スムーズな業務を実現できるのが特徴です。2000万人以上のユーザーがおり、あらゆる業界・規模の企業で導入されています。
Lychee Redmine
あらゆる規模の企業が利用している「Lychee Redmine」。タスク管理は複数人でリアルタイムに共有でき、ガントチャートではマイルストーン設定も可能です。カンバン、各メンバーにどれくらいの負荷がかかっているか把握できる工程リソース管理など、メンバーにも管理側にも便利な機能が揃っています。デモサイトの利用や30日無料お試し期間もあり、導入前にじっくり検討したい企業にもおすすめです。
Todoist
「Todoist」はマルチプラットフォームに対応しており、すべてのデバイスで同期可能なタスク管理ツールです。各タスクにはもちろん、プロジェクトにも簡単に優先度がつけられ、重要なタスクを可視化できます。複数の工程にわたるプロジェクトを効率的に管理でき、目標値の設定、進捗管理がスムーズなのが特徴です。
Wunderlist
日本マイクロソフトによるタスク管理ツールです。ToDoリストの管理や期日確認、リマインダー機能による確認はもちろん、マルチデバイス対応のためどこからでもタスクをチェックできます。フォルダ作成により、仕事とプライベートを分けてタスク管理することも可能です。
ITreviewではその他のタスク管理も紹介しており、紹介ページでは製品ごとで比較をしながら導入ツールを検討できます。
まとめ
タスク管理ツールは、こまごまとした作業をスムーズに進めるための便利なツールです。従業員自身が今取り組むべき作業を把握しやすく、管理側もプロジェクトの全体像を可視化できます。ツール上での情報共有もしやすく、作業効率化におすすめです。
どのタスク管理ツールを導入すべきかは企業によって異なりますが、まずは必要な機能やコストなどを挙げ、比較するとよいでしょう。