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ブイキューブ、カスタマーサクセスグループを業界特化組織へ分散――競合との差別化を図り、新体制へ

CS実施で解約率16.1%から11.7%を実現。1桁台の実現に向けた、新たな取り組みとは?

 製品・サービス提供後も、顧客企業の成功を第一として積極的に伴走を続ける「カスタマーサクセス」を取り入れようとする動きが日本でも活発化し始めている。本連載ではカスタマーサクセスに取り組む企業とその立役者を連載形式で取り上げ、具体的な施策やうまく推進するための秘訣などを紹介する。


 既にカスタマーサクセスを実践する企業は、専門部署を立ち上げるケースが多い。Web会議関連のサービスを提供し5,000社以上の導入実績を誇るブイキューブでも、カスタマーサクセスへの取り組みを本格化した2015年当初より、カスタマーエクスペリエンスセンター(後にカスタマーサクセスグループ)という専任部署を組織化し、既存顧客の契約継続に向けてメンバーは活動を開始してきた。

 そうしたカスタマーサクセスの実践が、解約率の低下という目に見えた成果に結び付き始めた2019年、さらなる成果を求めて、ブイキューブは次なる一手に打って出る。それは、カスタマーサクセスグループを解散し、6人のカスタマーサクセス担当を、業界ごとに分割された営業部隊にそれぞれ配置するという戦略。つまり、カスタマーサクセスを“業界特化型”へとモデルチェンジしたのだ。今回は、この新しい試みの“仕掛け人”ともいえる営業推進グループ グループマネージャーの辻村 健悟氏へ「なぜ業界特化戦略へ舵を切ったのか」を中心に、そしてカスタマーサクセスチーム チームリーダーの菊地 あかりさんへ、具体的な活動内容を伺った。

利用状況のスコアリングデータから、お客さまの潜在的な「声」を把握

――貴社では、いつ頃からカスタマーサクセスを実践されているのでしょうか? 企業戦略として、カスタマーサクセスに取り組むことに至った経緯とあわせてお聞かせください。

辻村氏: カスタマーサクセスの活動を行うカスタマーエクスペリエンスチームを2人のメンバーで立ち上げたのは、2013年です。それ以前の営業は、新規契約の獲得に注力するスタイルで、既存顧客へ十分なフォローができていなかったため、解約率が非常に高かった。そこで、契約後のお客さまの継続率を高めることを目的として活動するチームが発足しました。

 その後、2015年秋に当社の主力サービスである「V-CUBEミーティング」がVer.5へのバージョンアップを行うのですが、それまでのVer.4時代は、他社から次々と登場する最新型のサービスにどうしても品質面で劣る部分があり、解約をされていくお客さまが非常に多かった。そのようなタイミングで、既存のお客さまの離脱をいかに防ぐかを改めて考え直そうという方針のもと、2015年にメンバーも増員して、カスタマーエクスペリエンスセンター(以下 CXC)を立ち上げました。カスタマーサクセスを本格的に実践するようになったのは、このCXCが立ち上がった2015年ということになります。  Ver.5へのバージョンアップを控えていたので、当時のカスタマーサクセスは、いかにVer.4から離脱させずにVer.5へ切り替えられるかということに重点をおいた活動でした。全てのお客さまへ同じようにご案内できるよう営業フローを整えて対応していました。

辻村 健悟 氏 株式会社ブイキューブ 営業本部 営業推進グループ グループマネージャー

 先ほども申し上げましたが、2015~16年頃から、競合他社からさまざまなサービスが登場してきました。更に2017年以降は海外のサービスも日本の企業で受け入れられ始め、Web会議という製品特性やスペックだけでは売れない時代へと突入していきました。そこで、2017年に「V-CUBEミーティング Ver.5はもっとこういう使い方ができます」といった提案をしっかりと行っていく方針に転換し、CXCとカスタマーサポート部隊を統合する形で、カスタマーサクセスグループとして再編成しました。

――カスタマーサクセスを実践するには、いかに多くの顧客の声を集めるかということがポイントになると思います。貴社では顧客の声をどのように集めていらっしゃるのでしょうか?

菊地氏: カスタマーサクセス担当が受け持つ既存のお客さまは約1,600社あり、それを6人で担当しています。お客さまと接する機会がないと「どういう利用シーンがあるか、どこにお困りなのか」といった声はお伺いできないので、できるかぎり折衝する機会を増やすというのが大前提になります。とはいっても、やはり顧客数が多いので、重点的にフォローするお客さまは自分たちの中でセグメンテーションをして対応しています。このお客さまは定期的なミーティングを実施する、訪問できないお客さまはWeb会議や電話、メールでのフォローを実施するなどの活動を行っています。

菊地 あかり 氏
株式会社ブイキューブ 営業本部 VCソリューション営業グループ カスタマーサクセスチーム チームリーダー

辻村氏: カスタマーサクセスグループのマネジメントを担当していた私は、約1,600社のお客さまに対して、いかにして拾うべき声を拾える状況を作るかということを考えていました。顧客数が多いので、効率的にお客さまの声を拾う必要があると考え、開発の部隊と連携してカスタマーサクセスの観点からお客さまの利用状況をより詳細に把握し、それをスコアリングする仕組みを模索し始めました。例えば、「会議の利用時間がこのぐらいあれば定着しているのではないか」とスコアリングしたり、「Web会議の同時接続数(開催数)が週でどのくらいに達していれば安定的に運用しているのではないか」だったり。逆に「同時接続数を10契約しているのに、2ぐらいしか使っていないから要フォロー」であったり。こういった利用状況のスコアリングデータから、お客さまの中にある潜在的な「声」を効率的に把握できるような取り組みを進めています。

――そのようにして集めた顧客の声をどのように活用されていますか?

辻村氏: カスタマーサクセス担当やカスタマーサポート、また新規営業担当が集めた顧客の声は、開発側へ機能改善の要望という形で伝える場を設けています。具体的には、週に1回のミーティングを実施し、こういう改善だとこれくらいの規模の売り上げが見込めるという説明をし、機能改善の優先順位づけなどを行っています。2017年からこの取り組みを行っていますが、当初は新規営業担当からの要望が圧倒的に多かったのが、2018年あたりから既存顧客を守るための改善要望が増えています。カスタマーサクセスの活動が全社的に浸透してきたことを表していると思います。

KPIは解約率、16.1%から11.7%へ低下を実現。解約率1桁台へ向けて、活動を強化

菊地:基本的には定期的なミーティングを開催します。先ほど紹介したお客さまの利用状況のデータをお持ちしながら、利用度が伸びているのか、減っているのか、またその背景は何かを聞き出し、その後の提案や支援につなげられるようにしています。

辻村氏:およそ半期ごとに新規の営業からカスタマーサクセス担当へ引き継がれるフローなので、契約から半年ぐらいお客さまをフォローしない期間があるケースもありました。お客さまに継続利用していただく上で、そこが課題だったため、2018年から契約直後に利用シーンの提案を行いスムーズに運用に乗せていくオンボーディングの部分もカスタマーサクセスが主にフォローしていくようにしました。運用の定着化を図るという意味では、導入後3~4カ月が勝負。それ以降から定着させるのは難しいですから。

 また、2018年の後半に、マーケティング部門でインサイドセールスをやっていたメンバーがカスタマーサクセスのチームに入ったこともあり、そのメンバーが中心となって、インサイドセールスの観点からお客さまの運用状況をヒアリングするトークスクリプトを作成しました。例えば「こういうお客さまであれば、Web会議だけではなく、据え置き型のV-CUBE BOXも必要としているのではないか」といったアップセルやクロスセルの仮説を立てて、そのスクリプトをもとに重点的なお客さまへのヒアリングを行いました。成功したスクリプトもいくつかあったので、それをどんどん展開していきました。

――貴社の場合、カスタマーサクセスのKPIはどこに設定していますか?

辻村氏: 売り上げベースでの解約率です。それをKPIに設定しています。Ver.4からVer.5への切り替えを開始する時期であった2015年の解約率が16.1%。それが、カスタマーサクセスを実践して以降、徐々に低下してきており、2018年は11.7%に。これを1桁台の数値にするのが目標です。

“業界特化型”のカスタマーサクセスへモデルチェンジ。その理由は……

――さて、貴社はこのような成果を上げたカスタマーサクセスグループを分散し、2019年から、カスタマーサクセス担当を業界ごとに分割された新規営業部隊それぞれに配置するという体制に変更されています。その体制変更に込められた意図は、どのようなものでしょうか?

辻村氏: このような体制にして、業界特化戦略へ転換したのは、Web会議というサービスが取り巻く市場環境の変化が最も大きいといえます。サービス紹介とデモンストレーションだけで売れる時代はとっくに終わってしまっており、海外の安くて質の良いサービスもどんどん出てきて、お客さま自身がWeb上からサインアップすれば、すぐに契約して使えてしまうようなサービスもあります。そのような環境の中でも、カスタマーサクセスを実践することが、解約率の低下という一定の成果を上げ始め、既存顧客を守るということが経営戦略上でもより大きな意味を持つ状況になりました。

 また一方で、多くの顧客数を抱えているにもかかわらず、カスタマーサクセス担当の人数が少なく、かつ多様な業界のお客さまを担当しているため、限られた提案の機会の中で確実に継続利用へつなげられるよう、提案の質の向上を図る必要性を感じていました。当社の営業の強みは、いろいろな業種、業界の事例が豊富にあることです。業界別に分かれている新規営業組織とカスタマーサクセス担当を同じグループにすることで、それぞれのカスタマーサクセス担当は、その業種、業界に沿った利用シーンの提案ができるようになりやすいのではないかと考えました。新規営業部隊には、この業界にはこういう提案の切り口があるといった情報もあります。カスタマーサクセスの活動に、そのようなノウハウがプラスされると、提案の質は向上していくのではないかと思います。

――なるほど。Web会議のパイオニアとして、さまざまな業界の事例を豊富に持つ貴社ならではの業界特化戦略であるように思います。業界に特化した知見をどのように活用していくか。カスタマーサクセスというベースの活動にどのようにプラスしていくか。それが今後、カスタマーサクセス担当の方の行動指針になりますね。最後に、菊地さんにお伺いします。お客さまからかけられた言葉で、最も印象に残っているのはどんな言葉ですか?

菊地: 月並みになりますが「菊地さんのおかげ。ありがとう」という言葉がいちばんうれしいです。また、言葉ではないですが、トラブルが発生した状況から担当することになったお客さまが、そのトラブルを一緒に乗り越えたことで、今では何か困ったことがあったらまず私に電話をかけてくるような関係性になったこともうれしかったです。忙しい時は大変だと思うこともありますが、それは、とても頼ってくれていることの裏返しだと思います。お客さまのパートナーになりえる、そんなお客さまを増やしていきたいですね。ブイキューブのファンを増やしていくことが、カスタマーサクセス担当として私の一番の目標になるかと思います。


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