良いポイント
■「セルフサービス」BI
旧来のレポーティングサービスは社内でIT技術に詳しい人やSIerが構築したシステムで固定のレポートを出す機能が提供される程度でした。PowerBIはITに詳しくない人も自分できれいなグラフや高機能なダッシュボードをつくれる点が強みです。多くのユーザーが使用しているMicrosoftのOffice製品とセットで使いやすいことも重要です。E5であればMicrosoft365にライセンスが組み込まれておりすぐ導入でき、ExcelやSharePointといった比較的使い慣れたツールからすぐデータを入力でき、多くの種類のグラフがブラウザ上で編集できます。
■安くビッグデータが使える
2021年5月頃から高額であったPremiumライセンスにPerUserライセンスが追加されました。Proライセンスではデータサイズの限界がある一方でPremiumライセンスが非常に高額で泣く泣くサイズ制限の中でやりくりする運用で、Tableauに切り替えることも検討していましたがPerUserライセンスの登場で安く、大量のデータも扱えるようになり格段に使いやすくなりました。
改善してほしいポイント
■ライセンス体系がわかりづらい
よく言えば選択肢が多いですが、AzureやMicrosoft365と組み合わさったライセンス体系となっており、BIサービスを使うというシチュエーションだけ考えている人にとって、ライセンスの体系とその制約が何なのかがわかりづらいです。業務上ネックになるのが「企業に導入されているM365ライセンス」「レポートの共有範囲」「データサイズ」でライセンスが変わってくるのでこの3点で体系を組むか、価格ページにこれら3点だけを載せたライセンス比較表が欲しい。
■DAX式が若干使いにくい
DAX式はPowerBIやAnalysisServiceで使用する独自言語です。昔からありますが、パワーユーザともなるとPowerQueryとDAXを両方覚えないと作りたいデータや複雑なダッシュボードが作れない場面が出てきます。すると若干習得のハードルが上がる上にドキュメントが少ないので扱いづらさがあります。
どのような課題解決に貢献しましたか?どのようなメリットが得られましたか?
複数の企業へPowerBIを導入する支援をさせていただきました。業務シーンとして多いのは、毎月部課長レベルの人が組織の経営状況の報告を大量のExcel表からグラフを描画し何枚もPowerPointへ貼り付け上司に月次定例で報告する運用をされていました。そこでPowerBIを導入することで、データを更新するだけ(SharePointやOneDriveへCSVやExcelをアップするだけ)で毎月の運用を省力できました。上司への報告もPowerBIのURLを渡すだけで、上司側も月次の定例を待たずに状況の把握が可能になりました。
検討者へお勧めするポイント
競合は経験上Tableauです。BI機能に大きな差はないので、ポイントとしてはデータの入出力する「周りのシステムとの接続しやすさ」、「使うユーザーや組織、共有の範囲」、「値段」などに優先度を置いて比較するのがよいです。また、ブラウザ利用や共有の要件が小さければPowerBIDesktopを利用することも有力な選択肢です。