企業活動する上で、いまや欠かせないツールになりつつあるオンラインストレージ。需要が高まるとともに、大人数で多くのファイルやデータを共有するケース、重いファイルや大量の画像を利用するケースなども増えてきました。
そうしたときに検討したいのが、「容量無制限」で利用できるオンラインストレージです。しかし、実際のところ、どんなサービスがあり、何がどこまでできるのかなど気になるところです。そこで今回は、「容量無制限」のオンラインストレージについて選ぶときの注意点と、代表的な4つのオンラインストレージについてご紹介します。
容量無制限のオンラインストレージを選ぶときの3つの注意点

どんな料金プランがあるのか
「容量無制限」で利用する場合、ほとんどのオンラインストレージでは、ビジネス向けの有料プランで契約する必要があります。この場合、最低利用人数が決まっているプランもあるので確認しておきましょう。なお、ビジネス向けの有料プランでは、各サービスとも管理機能が向上する等のメリットが期待できます。
使い勝手はどうか
シンプルなデザインであること。ファイルがドラッグ&ドロップで移動できるなど、説明がなくても直感的に使いやすいことが選定基準になります。また、情報共有する場合、グループ編集が可能かどうか、社外の関係者にもスムーズに共有できるのか等も確認しておきましょう。
セキュリティレベルはどうか
オンラインストレージを利用する場合、情報漏えいのリスクに対処しなければなりません。その点、有料版になれば、各サービスともセキュリティが細かく設定可能に。ウイルス対策をはじめ、ログ機能や通信経路の暗号化の他、アクセス権限、ユーザー個別権限の範囲なども確かめておきたいところです。
容量無制限で利用できるオンラインストレージ4選
「機能面の特徴」「料金プラン」「セキュリティ」とともに「ユーザーのレビュー」もご紹介しながら、「容量無制限」で利用できる人気のオンラインストレージ4つをご紹介します。
1.OneDrive for Business

OneDrive for Businessの主な特徴
・Microsoft社が提供するOfiice365、Word、Excel、PowerPointなどOffice製品との連携がスムーズ。
・Windowsユーザーであれば、Microsoftアカウントでログインするだけで、OneDriveのフォルダにアクセス可能。
・OneDriveのフォルダにファイルをドロップするだけで保存可能。
・国内企業でのOfficeユーザーが多く、WordなどのOffice製品による情報共有がしやすい。
・DLP(※注1)機能やPersonal Vault(※注2)を利用し、機密情報の保護が可能。
・25 ライセンス、30 日間無料試用版あり。
※(注1)Data Loss Preventionの略。データ損失防止機能と訳される。指定した重要なデータのアクセス監視を行い、コピーやファイル共有等を制限する機能。
※(注2) OneDrive内に、特別なフォルダを作成し、指紋認証、顔認証、メールまたは SMS 経由で送信されるコードを使って2段階認証を行う仕組み。
OneDrive for Businessの料金プラン
無料登録で利用できるのは初期段階では5GB までですが、OneDrive for Business Plan 2プラン(月額1,090円/1ユーザー)、またはOffice 365 Business Premiumプラン(月額1,360円/1ユーザー)に登録すれば、保存容量を無制限に拡張できます。ただし、「容量無制限」で利用できるのは、対象プランのサブスクリプションユーザー数が5人以上の場合となりますのでご注意ください。
OneDrive for Businessのユーザーレビュー・高評価
ローカルにデータを保存している場合、PCのクラッシュなどでデータが復旧できない場合でも、OneDriveに保存しておくことで業務への影響を最小限に抑えることができます。
OneDrive for Businessへのレビュー「PCへの依存が解消されるツール」より
また、PCの盗難によるセキュリティーリスクも抑えることができます。
OneDrive for Businessのユーザーレビュー・低評価
OneDriveを個人(プライベート)で使うのであれば問題ないが、会社組織(For Business)として使う場合はデータが散乱してしまう。(原則各社員のアカウントに紐づいた領域にのみ保存される)
OneDrive for Businessへのレビュー「SharePointで十分、OneDriveを使う必要はない」より
また、OneDriveでデスクトップを同期(アップロード)すると、ローカルディスク側のデータが全て消えてしまう。
これでは万一MicroSoft側のサーバーにアクセスできなくなった場合仕事にならなくなるリスクがある。
また常に同期しているためPCの動作が遅くなり、OneDrive側にあるファイルを読み込みに行くだけでも通常の数倍時間がかかる。
更に、同期されたファイルが壊れて開けなくなることもあった。
2.Google Drive

Google Driveの主な特徴
・ファイルの種類やデバイスを問わずデータの保存・共有が可能。
・Gmail やGoogleドキュメント、スプレッドシート、カレンダーなどGoogleアプリが利用できる上、チームでの情報共有・共同作業が可能。
・Google アカウントがあれば、他のユーザーも閲覧、ダウンロード、共同編集などが可能。
・G Suit契約で利用できるビジネス向けのDrive Enterpriseでは、DLP機能(※注1)やGoogle Vault for Drive(データを削除するまでの保持期間を設定したり、訴訟のためのアクセス記録を保持できるようになる機能)を利用して機密情報の保護が可能。
・14日間無料トライアルあり。
Google Driveの料金プラン
無料登録で利用できるのは初期段階では15 GB までですが、G Suite Businessプラン(月額1,360円/1ユーザー)、またはG Suite Enterpriseプラン(月額3,000円/1ユーザー)に登録すれば、保存容量を無制限に拡張できます。「容量無制限」にするには、ユーザー数5人以上の契約をする必要があるのでご注意ください。
Google Driveのユーザーレビュー・高評価
クラウドサービスが、PC内のHDにデータが有るかのように操作できます。
Google Driveへのレビュー「個人でも仕事でも、どんな場面でも利用できる」より
他のクライドサービスでは無い機能で、ブラウザ上でファイルのアップロード・ダウンロードの必要が無いため、ストレスフリーで使えます。
Google Driveのユーザーレビュー・低評価
エクセル、パワポ、ワード等のオフィス系ソフトが通常のwindows版とは異なり、使用方法や利用できる機能が制限されているため使いにくい。
Google Driveへのレビュー「通常のオフィス系ソフトと仕様が異なり使いにくいと感じました」より
いつもローカルに保存してからファイルの編集を行っているためあまり意味がない。
3.BOX
BOXの主な特徴
・法人向けに特化したサービスを展開し、世界中の大手企業が多数導入。
・国際的なセキュリティ規格に準拠しているため、高いセキュリティを確保。
・7段階の権限設定やユーザーの履歴を追うことができるログ監視機能など、セキュリティ機能が充実。
・OfficeやSalesforceなど1000以上のサービスと連携できるため、社内の情報の一元管理可能。
・特に機密文書や顧客情報などを取り扱う企業に向いている。
・会社概要の設定、ロゴのアップロードなど、カスタマイズ可能。
・14日間無料トライアルあり。
BOXの料金プラン
無料登録で利用できるのは初期段階では10 GB までですが、Businessプラン(月額1,800円 /1ユーザー)または、Business Plusプラン(月額3,000円/1ユーザー)に登録すれば、保存容量を無制限に拡張できます。最低利用人数は3人以上です。
BOXのユーザーレビュー・高評価
■優れている点・好きな機能
BOXへのレビュー「boxは多機能且つ直感的な操作が可能」より
・検索性が高い
■その理由
・検索条件を細かく設定できるため、フォルダなのかファイルなのか、ドキュメントなのかPDFなのか、どの範囲まで検索するのか、などなど細かく設定できるため、検索性が高い
・お気に入り登録の一覧なども分かり易い
BOXのユーザーレビュー・低評価
ローカルとの同期がうまくいかない事が多い。
BOXへのレビュー「ちょっと使いづらいです」より
同期に時間がかかるため、出来上がったファイルを共有する際にアップ待ちが発生する。
4.Dropbox Business

Dropbox Businessの主な特徴
・シンプルなデザインなので、初めての人でも使いやすく、共同作業もしやすい。
・ブラウザやデスクトップアプリ、モバイルなど、どの環境でも自動的に同期される上、そのスピードが速い。
・Windows、Mac、Linuxの各OSはもちろん、Androidや iOSに対応。さまざまなデバイスに対応している。
・2段階認証、PCやスマートフォンの紛失・盗難時にデバイスやアプリとのリンクを解除する機能、認証デバイスのみからの接続など、高度なセキュリティと管理機能を搭載。パスワードや期間設定など、ファイルを保護する機能も充実。
Dropbox Businessの料金プラン
Advancedプラン(月額2,000円/1ユーザー)、またはEnterpriseプラン(料金は要問い合わせ)を利用すると、初期状態では1ユーザー1TBの制限はありますが、カスタマーサポートに連絡して、追加料金なしで容量を増量することが可能です。
Dropbox Businessのユーザーレビュー・高評価
・プロジェクトでチーム外のメンバーや社外のメンバーにファイルを共有する必要があるときによく利用しています。メンバーの招待も簡単ですし、知名度もあるため、社外のユーザーを含めてスムーズに導入できる点は助かります
Dropbox Businessへのレビュー「容量無制限のオンラインストレージサービス」より
・クラウドサービスのためどこにいてもどのデバイスでもアクセスできる点はメリットですし、設定次第ではファイルがアップデートされたタイミングで通知を受けることができるため、都度確認しなくても良い点もありがたいです
Dropbox Businessのユーザーレビュー・低評価
選択式同期を使用しているのですが、ファイルの数が30万件を超えるとパフォーマンスが一気に低下します。
また、多すぎるといつまでたっても同期が完了せずエラーで停止します。ファイル数が多くなっても同期が出来るようにして欲しいです。同期ファイルを少なくしても、毎朝起動するたびに同期を行いCPU負荷がかかりバッテリーがすぐ無くなるようになります。また、パケットが多くなるようで、ポケットwifiの契約を変える必要が生じました。同期の負荷を低減して欲しいです。
同時にファイルアクセスすると、競合コピーが作られるため、最新版がわからなくなってしまいます。一般的なファイルサーバのように自動でファイルロックされないため、手作業で行う必要があります。この点はぜひ改善して欲しいです。
Dropbox Businessへのレビュー「大量のファイルの同期はお勧めできません」より
容量無制限のオンラインストレージは選定基準を決めておく
「容量無制限」プランが利用できるオンラインストレージのご紹介はいかがでしたか。企業向けの有料版ともなれば、各サービスとも甲乙つけがたい高いスペックになります。そのため、検討する場合には、自社にとって何を重要視するのかオンラインストレージを「選定する基準」を決めておくことが大切です。
セキュリティレベル、ランニングコスト、情報共有のしやすさ、既存ソフトの連動性…。会社の規模によっても基準が異なるので、自社のパフォーマンスを上げるのに役立つサービスを選びたいものです。なお、各サービスとも「無料トライアル期間」があります。不安な点があれば、無料トライアルをお試しされることをおすすめします。