良いポイント
優れている点・好きな機能・その理由
・クラウドとあるだけに、従来のオンプレミス版と大きく異なるのは、場所を問わずサービスが利用できることが一番の利点だと感じています。事務所の端末に関わらず、持ち出し用のモバイル端末でも専用のアプリケーションをインストールすれば、コロナ禍における働き方の変化にも十分に対応できる製品だと感じています。
・定期的に製品の自動アップデートが適用されるため、クラサバ運用における管理者側でのアップデート作業が省けるのは情シス視点から見てもメリットの1つとも考えられます。法改正や毎年の年末調整における細かい変更箇所も漏れなくアップデートが施されるため、実務担当者としては安心してご利用できると思います。
・ご存知の方もいるかと思いますが、他の奉行シリーズも同時に利用することで勤怠データの取込や人事情報の管理、給与データに基づいた仕訳伝票の作成など、直接製品間のデータ連携ができることもメリットの1つといえます。
改善してほしいポイント
欲しい機能・分かりづらい点・その理由
・従来の奉行シリーズにおける機能拡張やカスタマイズにはすべて対応しきれているわけではありません。機能的にはオンプレミス版のiシリーズと同等レベルのため、Vシリーズ相当の機能(明細項目の拡張や開発ベンダーによるカスタマイズを組み込んでいる等)を求める場合は、現状では推奨し難いです。最近では給与奉行クラウドと連携するAPIも様々なメーカーから公開されているため、カスタマイズではなく、APIで代用できるか検討されても良いかもしれません。
・環境はMicrosoft社のAzureを利用しているため、データは自動的にバックアップを取得されていますが、オンプレミス版には搭載されている利用者が手動でバックアップを取得・復元するメニューがないため、操作ミスをしても○○時点の状態に戻すことができない点には注意が必要です。
どのような課題解決に貢献しましたか?どのようなメリットが得られましたか?
課題に貢献した機能・ポイント
・オプション製品を前提としますが、『奉行Edge年末調整申告書クラウド』を合わせて利用することで、給与担当者としては、申告書の収集や金額の計算をすべてシステム化できることが業務時間の大幅な削減につながりました。3~4年前までは申告書を紙で配布・回収して計算結果もチェックしてましたが、今では配布と回収はメールで行い、PCやスマートフォンから申告、控除金額も自動で計算してくれるため、人為的ミスが減りました。申告する立場としても、2年目以降は昨年度の情報が既に反映されているため、変更箇所だけ修正すれば今は1人5~10分もあれば完了します。
・今までのオンプレミス版とは異なり、自動でアップデートが適用されるため、電子申告の様式変更や毎年の年末調整に対応した画面表示にもいち早くメーカー側で対応してくれるため、トラブル無く安心してサービスがご利用できることも評価できます。
検討者へお勧めするポイント
販売代理店の立場としては、現在奉行iシリーズをご利用中でバージョンアップを検討されている場合は、クラウドへの切替をするユーザー様が増えつつあるように実感しています。テレワークをはじめとした働き方改革への対応、情報システム部門における負担軽減(サーバルームの有効活用)、制度改正に対応した自動アップデートや機能追加…このような点を重視する場合であれば、クラウド版をおすすめします。
給与明細の電子化や年末調整の申告・計算においては、別途オプションの『奉行Edge給与明細電子化クラウド』『奉行Edge年末調整申告書クラウド』を契約することで、紙運用を無くした大幅な業務改善効果が得られます。
ただし、ランニングコストはオンプレミス版に比べて高く、複数法人のデータを取り扱う場合は法人単位での契約となります。もしコスト面が気になるようであれば、ベンダーからオンプレミス版とクラウド版とで比較表を提示してもらってから判断された方が良いと思います。
補足として、給与奉行クラウドでは現在処理年度+過去7年分まで管理可能で、それ以上の年数を管理したい場合は、過去年度のデータを削除するか、1年単位で有償の追加オプションを購入します。また社員数も300名を超える場合は人数拡張オプションを購入する必要があるため、導入後にトラブルにならないよう事前にご確認ください。