電子契約・電子サイン・電子署名とは

 電子契約とは、広くはインターネット等を通じた電子文書のやり取りだけで締結する契約のことを言います。従来の「紙+印鑑押印」による契約に代わるものです。

 本来、契約自由の原則により、口約束でもメールでのやり取りでも契約は成立しますが、特に企業間取引においては契約の締結の有無や契約の内容について訴訟等トラブルになった場合に備え、契約書を締結することが多くあります。電子文書は紙媒体の契約書に比べて改ざんが容易であることから訴訟等での法的効力が低かったのですが、2000年に電子署名法が成立し、一定の電子署名(*)がある電子文書は、紙の契約書と同等の法的効力を持つようになりました。

 また、今までは双方が電子契約に同意し、かつそれぞれが電子契約ツールを所有していないと締結が出来ませんでしたが、近年多くの電子契約サービスが開発されており、同じサービスツールを導入していなくても契約締結が可能となっています。

 電子契約は従来の契約方法と比較して、時間面・コスト面・セキュリティ面で大きな効率化が見込めることから、近年急速に普及している契約の方法です。

(*)電子署名が署名者本人により作成されていること(本人性の証明)、電子署名が作成されたときの電子文書と現在の電子文書の内容が同一であること(非改ざん性の証明)により、「電子契約の真正性」を確保できる電子署名


電子サイン、電子署名、電子印鑑はどう違うのか?

電子サイン

 電子サインは電子契約において意思表示等をするためのプロセス全般のことです。
 例えば、タブレット等に表示された署名欄への自署サイン、メールアドレス・パスワード、企業ID、ソーシャルIDなどでの承認、また電子署名も電子サインの1つです。

 印鑑に認印、銀行印等届出印、実印があり、利用シーンや法的効力の程度が異なるのと同じように、電子文書の重要性によって、どの電子サインを利用するか異なります。
本人確認が厳格に行われている第三者機関により証明される「電子署名」は、いわば「実印」に相当する法的効力を有するので、重要な契約書に使用します。

 一方で、そのような第三者機関を通さない「電子サイン等」は、比較的容易に利用できることから、見積書・請求書、領収書などの日常的な業務に適しています。

電子署名

 電子署名とは、実際の印鑑でいうと「実印」の位置づけです。第三者機関(電子認証局・時刻認証局)を通じて発行された電子証明書とタイムスタンプにより、文書の本人証明や改ざん防止ができるため、より厳格な電子文書をつくることが可能です。

 「電子署名と電子証明書」「印鑑(実印)と印鑑証明書」と同様の関係です。
 第三者機関を通じて行うことから、容易かつ頻繁に使うものではなく、紙の契約書において実印を押印するような重要な契約書に対して利用されています。

<電子署名・電子証明書・タイムスタンプによる本人性の証明と改ざん防止>
 電子文書は、電子署名と電子証明書の一致を確認することで、本人性や偽装・改ざんされていないことが証明されます。

 さらに、タイムスタンプにより、電子文書の最終更新日時が証明されるため、その日時に文書が存在し、それ以降に文書が改ざんされていないことを証明することができます。

電子印鑑

 電子印鑑とは、印影を画像データ化し、紙文書へ押印のように、電子文書にデータ化した印影による押印を可能とするものです。電子印鑑があれば、PDFやWord,Excel等で作成された文書に容易に押印が可能になります。

 印鑑では「認印」のようなものです。認印同様に模倣が比較的容易であることから、トラブルになったときに証拠としては弱いことになります。そのため社内稟議等社内を中心とした文書に利用するに留めるのが得策でしょう。

電子印鑑に該当するサービスとしてはパソコン決裁Cloud Corporateがあります。

電子契約の導入フロー

①情報収集 書類の承認をデジタル化。脱ハンコのための情報収集 電子契約の概要やメリットを知る ②仕様を確定 電子契約ツールで解決したい問題を整理 現場と法務担当に確認。要求ライセンス数、機能などをすり合わせ ③選定 仕様とすり合わせた電子契約ツール選定 要求仕様に合致しているか。サポート・コスト・法務的な観点 ④見積 電子契約ツール見積 イニシャルコスト、ランニングコスト、カスタマイズ、ライセンス料金 ⑤稟議 ツール確定 現状の課題と解決策、電子契約の有効性を説明。社内稟議を通し、ツールを確定 ⑥初期導入 社内への初期導入 導入指導社内説明会、マニュアル整備 <br>
既存の契約フロー並列運用の場合、移行時期など算出 ⑦運用・改修 契約フロー電子契約へ一本化 社内の運用サポートの効率化、運用時の要望を吸い上げ、改修プランの見直しへ

電子契約の機能

電子署名を作成・管理する機能

機能 解説
電子署名 電子文書に署名フィールドを作成し、電子署名を入力できるようにする
証明書発行 電子署名した電子文書を暗号化して真正性を担保する証明書の発行を申請する。証明書は公開鍵と秘密鍵により認証される
タイムスタンプ 電子署名した日時、送信日時など電子文書に対して行われた全ての操作のタイムスタンプを付加する
不可視署名(透かし) 文字として電子文書内に表示されない不可視署名を入力する
電子文書検索 署名した社内の部署・担当者、取引先、契約内容などをキーワードにして電子文書を検索する
自社情報登録 電子署名に必要な社内や部署、担当者などの基本情報をあらかじめ登録しておく
取引先情報登録 取引先の企業情報をあらかじめ登録しておく


契約に関する電子文書管理機能

機能 解説
テンプレート 契約書などのひな形(テンプレート)になる文書を作成し、用途に応じてすぐに利用できるように登録する
電子文書の内容確認 契約書などの電子文書に記載されている内容を確認する。内容に不備・変更があり修正が必要なときは編集・更新する
一覧表示 電子署名した電子文書を取引先や契約内容に応じて一覧表示する
ワークフロー 電子署名した電子文書を取引相手に送信、署名を依頼して返送、契約成立、保管までのワークフローを管理する


法令対応・外部システム連携機能

機能 解説
法令対応 日本の電子署名法、e-文書法や電子帳簿保存法などの法令に対応した電子署名や米国のESIGN ACTやEUのeIDAS規制、GDPR(EU一般データ保護規則)などの法令に対応した電子サインを利用できる
外部システム連携 各種ドキュメント管理システムやSFA/CRMツール、ワークフローシステム、グループウェアなどと連携した電子署名・電子サインの運用を可能にする

電子契約を導入すべきユーザー、電子契約のメリット

導入すべきユーザー

契約や受発注書といった紙書類を扱う業務を管理し、時間面・コスト面の改善を行いたいユーザー
例えば以下のような担当。
・契約業務全般を管理する管理部門
・取引先との間で文書をやりとりする営業部門、購買部門の担当者

電子契約のメリット

電子契約を導入することで、以下のようなメリットが見込めます。
・契約に関する業務負荷とコスト削減効果
・コンプライアンス強化による信頼性向上
・ペーパレス化による印刷コスト・送付コストの削減
・テレワークのスムーズな運用・推進

具体的には以下の通りです。

紙と押印による契約 電子契約
工数 印刷・製本・押印・収入印紙の貼付け ファイルアップロード・メール送信
(クリック数回)
送付 郵送もしくは持参 インターネット通信
締結までのスピード 1~2週間
※郵送込
最短1日
保管 書庫 サーバー
収入印紙 必要 不要
利便性 テレワーク等社外での契約事務処理は不可能
検索性は低い(管理番号や社名をキーに検索)
テレワーク・在宅勤務での契約事務処理が可能
検索性が高い(多様な条件で検索可能)
安全性 物理的な鍵で施錠して管理
紙の経年劣化は避けられない
セキュリティが確保されたサーバーでの保管
主なコスト 印紙税・印刷・消耗品代・送料・保管コスト、人件費など サービス利用料・人件費

電子契約の導入でユーザーが重視すべき点

 契約締結の多い企業にとって、電子契約サービスの導入は大きなコスト削減・効率化が見込めますが、先んじて導入する前に、自社にあったサービス選定を検討しましょう。

担当別にみる導入時に重視すべき点

共通 ・税法、電子帳簿保存法等に基づいた社内運用ができそうか?
・電子化できる契約がどのくらいあるか?
・電子署名、電子サインは選択可能か?
・認定タイムスタンプが付与されているか?
・電子帳簿保存法に基づいた検索機能を備えているか?
・紙で締結した契約書も同じシステム内で管理できるか?
・複数ユーザーでの同時利用は可能か?
・利用可能ユーザー/アカウント数は適切か?
営業・総務担当 ・契約テンプレートは登録できるか?登録可能数は?
・承認ステータスの把握、リマインド機能はあるか?
・複数者間の契約は可能か?
・将来的な外部サービス連携はあるか?
・契約書以外の関連書類把握をすることはできるか?
・自社法務担当の合意をとれる仕様か?
法務 ・閲覧範囲(複数部署、子会社の契約など)の制限は可能か?
・稟議機能はあるか?
・自社現場担当(営業・総務担当等)の合意をとれる仕様か?

導入、運用時のカスタマーサクセスの重要性

 サービスの導入を決定後、社内にスムーズに導入すること、効果的に運用することという新たな課題に対応していく必要があります。そのため導入決定の要素として、カスタマーサクセスは大変重要です。
 充実したヘルプコンテンツ、サービスチャットのサポートによりサービス改善を顧客に代わり社内推進する役割も担い、電子契約がスムーズに活用できる環境を整えていくサービスも多くあります。
 電子契約サービスの導入を自社の成長に変えられるサービスを選定しましょう。

主な電子契約サービス

導入・管理のしやすさランキング

電子契約サービスの利用コスト

 電子契約サービスの利用コストについては、大きく2つ、イニシャルコスト(初期費用)ランニングコスト(月額・維持費用)に分けられます。
 各社とも無料プランを用意していることから、事前にトライアル導入し、利用する各部署で試用し、意見を収集の上、最適なサービスを選定しましょう。また、プランについては機能や利用数を分析し、費用対効果の結果で選定しましょう。

イニシャルコスト 初期費用 0~30万円程度
※2020年4月に緊急事態宣言を受けてテレワークが推奨されていることから、期間限定で0円とするシステムも多数あります。
ランニングコスト 月額費用 各社サービス共、複数のプランがある。
無料~10万円程度。
※無料プランは送信件数や機能の制約がある
送信件数毎の費用 月額費用に含むプランと、別料金とするプランがある。
※別料金とするプランの場合は1通50円~200円程度。

電子契約の導入時に気を付ける点

 電子契約を導入時、最も重要なことは取引先と社内の理解を得ることです。電子契約への移行中は電子と紙の双方が混在する状況となること、また法令上、電子化できない契約書があることを踏まえ、業務フローを従来よりも増やさない工夫が必要になります。導入時に混乱が起きないよう、マニュアルを作成し、説明会を行うなど丁寧な準備が必要です。

 併せて、社内規定や電子契約書向けの契約文書の見直しも必要になります。

 電子契約の導入に際しては、紙の契約フローと並行する移行期間等を算出した上で導入後の計画をたて、中長期的な視点で取り組む必要があります。カスタマーサクセスを活用してスムーズな導入を実現しましょう。

電子契約の運用時に気を付ける点

 組織変更や人事異動により電子署名のユーザー権限や承認フローの変更、取引先企業の追加などの様々な変更が生じます。また企業の成長により、各部署・担当の役割が変化することも少なくありません。そのため、電子契約においても定期的な運用フローの見直し、組織に合わせていくことが必要です。また、契約更新時の前には、各部署の利用者の要望を吸い上げ、プランの見直しおよびシステム改修を行い効率的にサービスの運用を維持することができます。

 電子契約は一朝一夕に達成されるものではなく、また長く付き合っていくサービスです。そういった観点からも、企業運営に寄り添い、フレキシブルな対応が可能なカスタマーサクセスチームを備えたツールを選定することが重要です。

<監修者プロフィール>

笠原 徳之(かさはら やすゆき)
東松山総合法律事務所  弁護士
2017年度埼玉弁護士会副会長

1973年、宮城県生まれ。2008年弁護士登録。
2013年東松山総合法律事務所を開設。
企業法務をはじめ医療問題等、実績を多数有する。
「真に信頼される弁護士」をモットーに活動している。

電子契約・電子サイン・電子署名の基礎知識

 電子契約とは、広くはインターネット等を通じた電子文書のやり取りだけで締結する契約のことを言います。従来の「紙+印鑑押印」による契約に代わるものです。

 本来、契約自由の原則により、口約束でもメールでのやり取りでも契約は成立しますが、特に企業間取引においては契約の締結の有無や契約の内容について訴訟等トラブルになった場合に備え、契約書を締結することが多くあります。電子文書は紙媒体の契約書に比べて改ざんが容易であることから訴訟等での法的効力が低かったのですが、2000年に電子署名法が成立し、一定の電子署名(*)がある電子文書は、紙の契約書と同等の法的効力を持つようになりました。

 また、今までは双方が電子契約に同意し、かつそれぞれが電子契約ツールを所有していないと締結が出来ませんでしたが、近年多くの電子契約サービスが開発されており、同じサービスツールを導入していなくても契約締結が可能となっています。

 電子契約は従来の契約方法と比較して、時間面・コスト面・セキュリティ面で大きな効率化が見込めることから、近年急速に普及している契約の方法です。

(*)電子署名が署名者本人により作成されていること(本人性の証明)、電子署名が作成されたときの電子文書と現在の電子文書の内容が同一であること(非改ざん性の証明)により、「電子契約の真正性」を確保できる電子署名


電子サイン、電子署名、電子印鑑はどう違うのか?

電子サイン

 電子サインは電子契約において意思表示等をするためのプロセス全般のことです。
 例えば、タブレット等に表示された署名欄への自署サイン、メールアドレス・パスワード、企業ID、ソーシャルIDなどでの承認、また電子署名も電子サインの1つです。

 印鑑に認印、銀行印等届出印、実印があり、利用シーンや法的効力の程度が異なるのと同じように、電子文書の重要性によって、どの電子サインを利用するか異なります。
本人確認が厳格に行われている第三者機関により証明される「電子署名」は、いわば「実印」に相当する法的効力を有するので、重要な契約書に使用します。

 一方で、そのような第三者機関を通さない「電子サイン等」は、比較的容易に利用できることから、見積書・請求書、領収書などの日常的な業務に適しています。

電子署名

 電子署名とは、実際の印鑑でいうと「実印」の位置づけです。第三者機関(電子認証局・時刻認証局)を通じて発行された電子証明書とタイムスタンプにより、文書の本人証明や改ざん防止ができるため、より厳格な電子文書をつくることが可能です。

 「電子署名と電子証明書」「印鑑(実印)と印鑑証明書」と同様の関係です。
 第三者機関を通じて行うことから、容易かつ頻繁に使うものではなく、紙の契約書において実印を押印するような重要な契約書に対して利用されています。

<電子署名・電子証明書・タイムスタンプによる本人性の証明と改ざん防止>
 電子文書は、電子署名と電子証明書の一致を確認することで、本人性や偽装・改ざんされていないことが証明されます。

 さらに、タイムスタンプにより、電子文書の最終更新日時が証明されるため、その日時に文書が存在し、それ以降に文書が改ざんされていないことを証明することができます。

電子印鑑

 電子印鑑とは、印影を画像データ化し、紙文書へ押印のように、電子文書にデータ化した印影による押印を可能とするものです。電子印鑑があれば、PDFやWord,Excel等で作成された文書に容易に押印が可能になります。

 印鑑では「認印」のようなものです。認印同様に模倣が比較的容易であることから、トラブルになったときに証拠としては弱いことになります。そのため社内稟議等社内を中心とした文書に利用するに留めるのが得策でしょう。

電子印鑑に該当するサービスとしてはパソコン決裁Cloud Corporateがあります。

電子契約の導入フロー

①情報収集 書類の承認をデジタル化。脱ハンコのための情報収集 電子契約の概要やメリットを知る ②仕様を確定 電子契約ツールで解決したい問題を整理 現場と法務担当に確認。要求ライセンス数、機能などをすり合わせ ③選定 仕様とすり合わせた電子契約ツール選定 要求仕様に合致しているか。サポート・コスト・法務的な観点 ④見積 電子契約ツール見積 イニシャルコスト、ランニングコスト、カスタマイズ、ライセンス料金 ⑤稟議 ツール確定 現状の課題と解決策、電子契約の有効性を説明。社内稟議を通し、ツールを確定 ⑥初期導入 社内への初期導入 導入指導社内説明会、マニュアル整備 <br>
既存の契約フロー並列運用の場合、移行時期など算出 ⑦運用・改修 契約フロー電子契約へ一本化 社内の運用サポートの効率化、運用時の要望を吸い上げ、改修プランの見直しへ

電子契約の機能

電子署名を作成・管理する機能

機能 解説
電子署名 電子文書に署名フィールドを作成し、電子署名を入力できるようにする
証明書発行 電子署名した電子文書を暗号化して真正性を担保する証明書の発行を申請する。証明書は公開鍵と秘密鍵により認証される
タイムスタンプ 電子署名した日時、送信日時など電子文書に対して行われた全ての操作のタイムスタンプを付加する
不可視署名(透かし) 文字として電子文書内に表示されない不可視署名を入力する
電子文書検索 署名した社内の部署・担当者、取引先、契約内容などをキーワードにして電子文書を検索する
自社情報登録 電子署名に必要な社内や部署、担当者などの基本情報をあらかじめ登録しておく
取引先情報登録 取引先の企業情報をあらかじめ登録しておく


契約に関する電子文書管理機能

機能 解説
テンプレート 契約書などのひな形(テンプレート)になる文書を作成し、用途に応じてすぐに利用できるように登録する
電子文書の内容確認 契約書などの電子文書に記載されている内容を確認する。内容に不備・変更があり修正が必要なときは編集・更新する
一覧表示 電子署名した電子文書を取引先や契約内容に応じて一覧表示する
ワークフロー 電子署名した電子文書を取引相手に送信、署名を依頼して返送、契約成立、保管までのワークフローを管理する


法令対応・外部システム連携機能

機能 解説
法令対応 日本の電子署名法、e-文書法や電子帳簿保存法などの法令に対応した電子署名や米国のESIGN ACTやEUのeIDAS規制、GDPR(EU一般データ保護規則)などの法令に対応した電子サインを利用できる
外部システム連携 各種ドキュメント管理システムやSFA/CRMツール、ワークフローシステム、グループウェアなどと連携した電子署名・電子サインの運用を可能にする

電子契約を導入すべきユーザー、電子契約のメリット

導入すべきユーザー

契約や受発注書といった紙書類を扱う業務を管理し、時間面・コスト面の改善を行いたいユーザー
例えば以下のような担当。
・契約業務全般を管理する管理部門
・取引先との間で文書をやりとりする営業部門、購買部門の担当者

電子契約のメリット

電子契約を導入することで、以下のようなメリットが見込めます。
・契約に関する業務負荷とコスト削減効果
・コンプライアンス強化による信頼性向上
・ペーパレス化による印刷コスト・送付コストの削減
・テレワークのスムーズな運用・推進

具体的には以下の通りです。

紙と押印による契約 電子契約
工数 印刷・製本・押印・収入印紙の貼付け ファイルアップロード・メール送信
(クリック数回)
送付 郵送もしくは持参 インターネット通信
締結までのスピード 1~2週間
※郵送込
最短1日
保管 書庫 サーバー
収入印紙 必要 不要
利便性 テレワーク等社外での契約事務処理は不可能
検索性は低い(管理番号や社名をキーに検索)
テレワーク・在宅勤務での契約事務処理が可能
検索性が高い(多様な条件で検索可能)
安全性 物理的な鍵で施錠して管理
紙の経年劣化は避けられない
セキュリティが確保されたサーバーでの保管
主なコスト 印紙税・印刷・消耗品代・送料・保管コスト、人件費など サービス利用料・人件費

電子契約の導入でユーザーが重視すべき点

 契約締結の多い企業にとって、電子契約サービスの導入は大きなコスト削減・効率化が見込めますが、先んじて導入する前に、自社にあったサービス選定を検討しましょう。

担当別にみる導入時に重視すべき点

共通 ・税法、電子帳簿保存法等に基づいた社内運用ができそうか?
・電子化できる契約がどのくらいあるか?
・電子署名、電子サインは選択可能か?
・認定タイムスタンプが付与されているか?
・電子帳簿保存法に基づいた検索機能を備えているか?
・紙で締結した契約書も同じシステム内で管理できるか?
・複数ユーザーでの同時利用は可能か?
・利用可能ユーザー/アカウント数は適切か?
営業・総務担当 ・契約テンプレートは登録できるか?登録可能数は?
・承認ステータスの把握、リマインド機能はあるか?
・複数者間の契約は可能か?
・将来的な外部サービス連携はあるか?
・契約書以外の関連書類把握をすることはできるか?
・自社法務担当の合意をとれる仕様か?
法務 ・閲覧範囲(複数部署、子会社の契約など)の制限は可能か?
・稟議機能はあるか?
・自社現場担当(営業・総務担当等)の合意をとれる仕様か?

導入、運用時のカスタマーサクセスの重要性

 サービスの導入を決定後、社内にスムーズに導入すること、効果的に運用することという新たな課題に対応していく必要があります。そのため導入決定の要素として、カスタマーサクセスは大変重要です。
 充実したヘルプコンテンツ、サービスチャットのサポートによりサービス改善を顧客に代わり社内推進する役割も担い、電子契約がスムーズに活用できる環境を整えていくサービスも多くあります。
 電子契約サービスの導入を自社の成長に変えられるサービスを選定しましょう。

主な電子契約サービス

導入・管理のしやすさランキング

電子契約サービスの利用コスト

 電子契約サービスの利用コストについては、大きく2つ、イニシャルコスト(初期費用)ランニングコスト(月額・維持費用)に分けられます。
 各社とも無料プランを用意していることから、事前にトライアル導入し、利用する各部署で試用し、意見を収集の上、最適なサービスを選定しましょう。また、プランについては機能や利用数を分析し、費用対効果の結果で選定しましょう。

イニシャルコスト 初期費用 0~30万円程度
※2020年4月に緊急事態宣言を受けてテレワークが推奨されていることから、期間限定で0円とするシステムも多数あります。
ランニングコスト 月額費用 各社サービス共、複数のプランがある。
無料~10万円程度。
※無料プランは送信件数や機能の制約がある
送信件数毎の費用 月額費用に含むプランと、別料金とするプランがある。
※別料金とするプランの場合は1通50円~200円程度。

電子契約の導入時に気を付ける点

 電子契約を導入時、最も重要なことは取引先と社内の理解を得ることです。電子契約への移行中は電子と紙の双方が混在する状況となること、また法令上、電子化できない契約書があることを踏まえ、業務フローを従来よりも増やさない工夫が必要になります。導入時に混乱が起きないよう、マニュアルを作成し、説明会を行うなど丁寧な準備が必要です。

 併せて、社内規定や電子契約書向けの契約文書の見直しも必要になります。

 電子契約の導入に際しては、紙の契約フローと並行する移行期間等を算出した上で導入後の計画をたて、中長期的な視点で取り組む必要があります。カスタマーサクセスを活用してスムーズな導入を実現しましょう。

電子契約の運用時に気を付ける点

 組織変更や人事異動により電子署名のユーザー権限や承認フローの変更、取引先企業の追加などの様々な変更が生じます。また企業の成長により、各部署・担当の役割が変化することも少なくありません。そのため、電子契約においても定期的な運用フローの見直し、組織に合わせていくことが必要です。また、契約更新時の前には、各部署の利用者の要望を吸い上げ、プランの見直しおよびシステム改修を行い効率的にサービスの運用を維持することができます。

 電子契約は一朝一夕に達成されるものではなく、また長く付き合っていくサービスです。そういった観点からも、企業運営に寄り添い、フレキシブルな対応が可能なカスタマーサクセスチームを備えたツールを選定することが重要です。

<監修者プロフィール>

笠原 徳之(かさはら やすゆき)
東松山総合法律事務所  弁護士
2017年度埼玉弁護士会副会長

1973年、宮城県生まれ。2008年弁護士登録。
2013年東松山総合法律事務所を開設。
企業法務をはじめ医療問題等、実績を多数有する。
「真に信頼される弁護士」をモットーに活動している。