IaaSのITreview Grid

 IaaS(Infrastructure as a Service)とは、コンピューティングリソースをインターネット経由で利用するクラウドサービスの一種。クラウド事業者からはコンピュータシステムに必要なハードウェアインフラが提供され、その上に仮想マシンを構築してアプリケーションやサービスを実行する。データベースやWebサーバなどのミドルウェア、及び実行環境を提供するPaaS(Platform as a Service)とは異なり、OSを含めた全てのソフトウェア環境を選択、用意して運用管理する。


IaaSの導入効果


ハードウェアの調達コストをなくし、調達期間を短縮

 IaaSを利用すると、ハードウェアを調達することなく、すぐにコンピュータシステムを構築するためのハードウェアインフラが用意される。オンプレミス環境にサーバを導入する場合、ハードウェアを購入してから納品されるまでの調達期間だけでも数週間かかるが、IaaSならばものの数分でインフラの準備が完了する。新しいサービスを迅速に立ち上げたり、一時的にシステムを用意、拡張したりする場合に重宝する。

ハードウェアの保守・運用、老朽化に伴う更改が不要

 IaaSは基本的に、クラウド事業者がハードウェアの保守メンテナンス、運用監視を担当する。IaaS上に構築した仮想マシン環境は完全に抽象化されているため、ハードウェアの稼働状況に影響されることもない。ユーザー企業はハードウェアの故障に伴う復旧作業、老朽化に伴う更改などは一切不要になり、仮想マシン上で利用するアプリケーションやサービスの安定運用だけに人的リソースを集中させることができる。

コンピューティングリソースを必要な分だけ柔軟に拡張・縮小

 IaaSの大きな利用メリットといえるのが、コンピューティングリソースを柔軟に拡張/縮小できることだ。仮想マシンを構築するためのインフラは「インスタンス」と呼び、インスタンスの設定では、CPUの種類やコア数、ソケット数、メモリ容量、GPUの種類などを自由に選べる。インスタンスは自由に設定変更できるため、コンピューティング リソースが不足したら拡張、リソースに余剰があれば縮小することが可能だ。イベントやキャンペーンなどで一時的に大規模リソースが必要になるといったケースにも向く。

BCP(事業継続計画)対策を実現

 自社サーバルームのオンプレミス環境に情報システム機器を設置していると、大規模災害などによってハードウェアが損傷し、システムを運用できなくなり事業の継続が難しくなる場合がある。一方、クラウド事業者のデータセンターは、一般的に地盤が強固な場所に建てられ、災害対策も通常の建物より強化している場合が多い。そのため、災害が発生してもシステムが止まる可能性は低く、事業継続の可能性を向上できる。また、クラウド事業者によっては物理的に遠く離れた2カ所のデータセンター双方でデータを保持し、冗長化するサービスを標準で提供している場合もある。


IaaSの対象ユーザー


 ・ハードウェアの保守メンテナンス、運用監視などのシステム管理業務を軽減したい情報システム部門
 ・情報システム機器を固定資産から運用コストへ転換して経費を削減したいと考える経営層


IaaSの機能一覧


インスタンスの拡大、縮小

機能 解説
CPUの選択 インスタンスで利用する仮想CPU(vCPU)のコア数、ソケット数を選択、指定する
メモリの選択 インスタンスで利用するメモリ容量を選択、指定する
オートスケーリングの設定 インスタンスのリソース使用量増減に合わせ、自動的にスケールアップ/スケールダウンする
GPUグラフィックス機能の追加 高性能グラフィックスを必要とする場合、インスタンスにGPUグラフィックス機能を追加できる
HPC(ハイパフォーマンス コンピューティング)クラスタの選択 科学技術演算、並列処理など高性能計算環境を利用する場合、HPC(ハイパフォーマンス コンピューティング)クラスタを選択できる
ストレージ容量の選択 組み込みのインスタンスストレージの容量を指定する
ストレージの選択、追加 インスタンスと同時に使用するブロックストレージ、ファイルストレージ、またはオブジェクトストレージ(AWS S3、Azure BLOB Storageなど)が追加できる
ネットワークの選択 インスタンスにアクセスするためのネットワーク帯域を指定する
静的IPアドレスの選択 特定のIPアドレスを固定的に利用する場合、静的IPアドレスを選択できる
ベアメタル クラウド事業者が提供する特定のハードウェアを専有して利用する


仮想マシンイメージの選定

機能 解説
オペレーティングシステムの選択 インスタンスで利用できるオペレーティングシステム(OS)を選択する。Windows Serverや各種Linuxディストリビューションが用意されている
ミドルウェアの選択 IaaSのインスタンス上で利用することを想定して設計されたミドルウェアを選択する
アプリケーションの選択 IaaSのインスタンス上で利用することを想定して設計されたアプリケーションを選択する


データセンターのロケーション選択

機能 解説
リージョン選択 クラウド事業者が全世界で展開するデータセンターのリージョン(地域)を選択できる。例えば、ディザスタリカバリーを想定してサイトを冗長化、またはバックアップを実施する場合、日本国内のリージョンと海外のリージョンを選択し、インスタンスを設置する。日本国内に東西のリージョンを用意するクラウド事業者もある





IaaS選定のポイント


クラウド事業者ごとの違い(製品思想、機能)

 IaaSを提供するクラウド事業者は、大きく以下の2種類に分けられる。
・グローバルパブリッククラウド事業者
 アマゾン ウェブ サービス(AWS)、マイクロソフト Azure、IBM クラウド、Google クラウド プラットフォームなど、グローバルでサービス展開する事業者。世界のどこにでもインターネット接続環境さえあれば、インスタンスを設置できる。

・ローカル パブリッククラウド事業者
 日本国内でIaaSなどのクラウドサービスを展開する事業者。大手サーバベンダーが提供するクラウドサービス、通信事業者やデータセンター事業者が提供するクラウドサービスなどがあり、国内事業者ならではの手厚いサポートが受けられる。

導入形態

 IaaSは、OSより上位のミドルウェア、アプリケーション、データを全てユーザー側が運用管理するため、基本的にオンプレミスのサーバ仮想化環境に構築する仮想マシンと共通する部分が多い。ただし、サーバ仮想化のハイパーバイザーではないので、インスタンスをそのまま移行することはできない。OSやミドルウェアの保守メンテナンスも手放したい場合は、PaaSを利用した方が利便性もコストメリットも高いといえる。

価格形態・契約形態

 IaaSの価格形態は、利用するインスタンスの機能によって異なる。CPUのコア数やソケット数、メモリ容量などを増やすと、その分だけコストがかかる。ただし、IaaSのインスタンスを停止しているときは利用料金が発生しない場合もある。例えば、アプリケーション開発を目的にIaaSを利用する場合、開発作業を行わない夜間や休日にインスタンスをシャットダウンしておけば、利用料を節約できる。

オプション

 IaaSでは、インスタンスを用意する際に選ぶ機能の全てがオプションとして提供されている。例えば、システムの動作検証を目的として最低限のインスタンスオプションを選択した場合、CPUは1vCPU、メモリは1GB程度が最低スペックになる。また、仮想マシンイメージを選択した場合、OSやミドルウェアのライセンス料がオプションとして利用料金に加算される。


IaaSのシステム要件、他システムとの連携方法


一般的な導入方法・導入環境

 IaaSを導入するには、利用するクラウド事業者のサイトでアカウントを登録することから始まる。多くがトライアルとして無料利用枠を用意しているので、本番導入する前にIaaS上にシステムを構築し、テスト運用ができる。

導入時に必要なもの

 IaaSを導入する際に必要になるのは、クライアントPCとインターネットのアクセス回線のみである。アカウントの設定をはじめ、インスタンスの作成や設定などは、全てWebブラウザを使って行う。IaaS上に構築したサーバにアクセスするには、リモートデスクトップツールなどを利用する。

導入後の運用方法・サポートの有無

 導入後の運用は、情報システム部門の管理者が主体となって行うことが一般的。IaaSに構築したアプリケーションやサービスをビジネス部門のユーザーに解放する際には、IaaSのインスタンスに割り当てられたURLを通知する。

 IaaSのサポートについては、クラウド事業者に問い合わせることになる。ただし、インスタンス上に構築した仮想マシンについては、全てユーザー側に運用管理責任がある。これはセキュリティ対策も同様であり、例えばOSのアップデートを怠り、脆弱性を突いた攻撃の侵入を許した場合、その責任はユーザーが取らなければならない。

他のサービスとの連携方法

 IaaSを他のサービスと連携する方法は、オンプレミスのサーバ仮想化環境の仮想マシンとの連携と何ら変わらない。オンプレミスのサーバとセキュアに通信したい場合には、クラウド事業者が提供する閉域回線サービス、またはインターネットVPNを利用することになる。

 IaaSを上手に利用すれば、サーバの処理負荷が高まる一時期だけIaaS上の仮想マシンを立ち上げ、負荷を分散するといったことも可能になる。

IaaSの基礎知識

 IaaS(Infrastructure as a Service)とは、コンピューティングリソースをインターネット経由で利用するクラウドサービスの一種。クラウド事業者からはコンピュータシステムに必要なハードウェアインフラが提供され、その上に仮想マシンを構築してアプリケーションやサービスを実行する。データベースやWebサーバなどのミドルウェア、及び実行環境を提供するPaaS(Platform as a Service)とは異なり、OSを含めた全てのソフトウェア環境を選択、用意して運用管理する。


IaaSの導入効果


ハードウェアの調達コストをなくし、調達期間を短縮

 IaaSを利用すると、ハードウェアを調達することなく、すぐにコンピュータシステムを構築するためのハードウェアインフラが用意される。オンプレミス環境にサーバを導入する場合、ハードウェアを購入してから納品されるまでの調達期間だけでも数週間かかるが、IaaSならばものの数分でインフラの準備が完了する。新しいサービスを迅速に立ち上げたり、一時的にシステムを用意、拡張したりする場合に重宝する。

ハードウェアの保守・運用、老朽化に伴う更改が不要

 IaaSは基本的に、クラウド事業者がハードウェアの保守メンテナンス、運用監視を担当する。IaaS上に構築した仮想マシン環境は完全に抽象化されているため、ハードウェアの稼働状況に影響されることもない。ユーザー企業はハードウェアの故障に伴う復旧作業、老朽化に伴う更改などは一切不要になり、仮想マシン上で利用するアプリケーションやサービスの安定運用だけに人的リソースを集中させることができる。

コンピューティングリソースを必要な分だけ柔軟に拡張・縮小

 IaaSの大きな利用メリットといえるのが、コンピューティングリソースを柔軟に拡張/縮小できることだ。仮想マシンを構築するためのインフラは「インスタンス」と呼び、インスタンスの設定では、CPUの種類やコア数、ソケット数、メモリ容量、GPUの種類などを自由に選べる。インスタンスは自由に設定変更できるため、コンピューティング リソースが不足したら拡張、リソースに余剰があれば縮小することが可能だ。イベントやキャンペーンなどで一時的に大規模リソースが必要になるといったケースにも向く。

BCP(事業継続計画)対策を実現

 自社サーバルームのオンプレミス環境に情報システム機器を設置していると、大規模災害などによってハードウェアが損傷し、システムを運用できなくなり事業の継続が難しくなる場合がある。一方、クラウド事業者のデータセンターは、一般的に地盤が強固な場所に建てられ、災害対策も通常の建物より強化している場合が多い。そのため、災害が発生してもシステムが止まる可能性は低く、事業継続の可能性を向上できる。また、クラウド事業者によっては物理的に遠く離れた2カ所のデータセンター双方でデータを保持し、冗長化するサービスを標準で提供している場合もある。


IaaSの対象ユーザー


 ・ハードウェアの保守メンテナンス、運用監視などのシステム管理業務を軽減したい情報システム部門
 ・情報システム機器を固定資産から運用コストへ転換して経費を削減したいと考える経営層


IaaSの機能一覧


インスタンスの拡大、縮小

機能 解説
CPUの選択 インスタンスで利用する仮想CPU(vCPU)のコア数、ソケット数を選択、指定する
メモリの選択 インスタンスで利用するメモリ容量を選択、指定する
オートスケーリングの設定 インスタンスのリソース使用量増減に合わせ、自動的にスケールアップ/スケールダウンする
GPUグラフィックス機能の追加 高性能グラフィックスを必要とする場合、インスタンスにGPUグラフィックス機能を追加できる
HPC(ハイパフォーマンス コンピューティング)クラスタの選択 科学技術演算、並列処理など高性能計算環境を利用する場合、HPC(ハイパフォーマンス コンピューティング)クラスタを選択できる
ストレージ容量の選択 組み込みのインスタンスストレージの容量を指定する
ストレージの選択、追加 インスタンスと同時に使用するブロックストレージ、ファイルストレージ、またはオブジェクトストレージ(AWS S3、Azure BLOB Storageなど)が追加できる
ネットワークの選択 インスタンスにアクセスするためのネットワーク帯域を指定する
静的IPアドレスの選択 特定のIPアドレスを固定的に利用する場合、静的IPアドレスを選択できる
ベアメタル クラウド事業者が提供する特定のハードウェアを専有して利用する


仮想マシンイメージの選定

機能 解説
オペレーティングシステムの選択 インスタンスで利用できるオペレーティングシステム(OS)を選択する。Windows Serverや各種Linuxディストリビューションが用意されている
ミドルウェアの選択 IaaSのインスタンス上で利用することを想定して設計されたミドルウェアを選択する
アプリケーションの選択 IaaSのインスタンス上で利用することを想定して設計されたアプリケーションを選択する


データセンターのロケーション選択

機能 解説
リージョン選択 クラウド事業者が全世界で展開するデータセンターのリージョン(地域)を選択できる。例えば、ディザスタリカバリーを想定してサイトを冗長化、またはバックアップを実施する場合、日本国内のリージョンと海外のリージョンを選択し、インスタンスを設置する。日本国内に東西のリージョンを用意するクラウド事業者もある





IaaS選定のポイント


クラウド事業者ごとの違い(製品思想、機能)

 IaaSを提供するクラウド事業者は、大きく以下の2種類に分けられる。
・グローバルパブリッククラウド事業者
 アマゾン ウェブ サービス(AWS)、マイクロソフト Azure、IBM クラウド、Google クラウド プラットフォームなど、グローバルでサービス展開する事業者。世界のどこにでもインターネット接続環境さえあれば、インスタンスを設置できる。

・ローカル パブリッククラウド事業者
 日本国内でIaaSなどのクラウドサービスを展開する事業者。大手サーバベンダーが提供するクラウドサービス、通信事業者やデータセンター事業者が提供するクラウドサービスなどがあり、国内事業者ならではの手厚いサポートが受けられる。

導入形態

 IaaSは、OSより上位のミドルウェア、アプリケーション、データを全てユーザー側が運用管理するため、基本的にオンプレミスのサーバ仮想化環境に構築する仮想マシンと共通する部分が多い。ただし、サーバ仮想化のハイパーバイザーではないので、インスタンスをそのまま移行することはできない。OSやミドルウェアの保守メンテナンスも手放したい場合は、PaaSを利用した方が利便性もコストメリットも高いといえる。

価格形態・契約形態

 IaaSの価格形態は、利用するインスタンスの機能によって異なる。CPUのコア数やソケット数、メモリ容量などを増やすと、その分だけコストがかかる。ただし、IaaSのインスタンスを停止しているときは利用料金が発生しない場合もある。例えば、アプリケーション開発を目的にIaaSを利用する場合、開発作業を行わない夜間や休日にインスタンスをシャットダウンしておけば、利用料を節約できる。

オプション

 IaaSでは、インスタンスを用意する際に選ぶ機能の全てがオプションとして提供されている。例えば、システムの動作検証を目的として最低限のインスタンスオプションを選択した場合、CPUは1vCPU、メモリは1GB程度が最低スペックになる。また、仮想マシンイメージを選択した場合、OSやミドルウェアのライセンス料がオプションとして利用料金に加算される。


IaaSのシステム要件、他システムとの連携方法


一般的な導入方法・導入環境

 IaaSを導入するには、利用するクラウド事業者のサイトでアカウントを登録することから始まる。多くがトライアルとして無料利用枠を用意しているので、本番導入する前にIaaS上にシステムを構築し、テスト運用ができる。

導入時に必要なもの

 IaaSを導入する際に必要になるのは、クライアントPCとインターネットのアクセス回線のみである。アカウントの設定をはじめ、インスタンスの作成や設定などは、全てWebブラウザを使って行う。IaaS上に構築したサーバにアクセスするには、リモートデスクトップツールなどを利用する。

導入後の運用方法・サポートの有無

 導入後の運用は、情報システム部門の管理者が主体となって行うことが一般的。IaaSに構築したアプリケーションやサービスをビジネス部門のユーザーに解放する際には、IaaSのインスタンスに割り当てられたURLを通知する。

 IaaSのサポートについては、クラウド事業者に問い合わせることになる。ただし、インスタンス上に構築した仮想マシンについては、全てユーザー側に運用管理責任がある。これはセキュリティ対策も同様であり、例えばOSのアップデートを怠り、脆弱性を突いた攻撃の侵入を許した場合、その責任はユーザーが取らなければならない。

他のサービスとの連携方法

 IaaSを他のサービスと連携する方法は、オンプレミスのサーバ仮想化環境の仮想マシンとの連携と何ら変わらない。オンプレミスのサーバとセキュアに通信したい場合には、クラウド事業者が提供する閉域回線サービス、またはインターネットVPNを利用することになる。

 IaaSを上手に利用すれば、サーバの処理負荷が高まる一時期だけIaaS上の仮想マシンを立ち上げ、負荷を分散するといったことも可能になる。