2026年の企業IT投資では、単なる業務効率化にとどまらず、部門横断でデータを活用し、働き方や意思決定の質を高めることが重視されています。生成AIの業務利用やバックオフィス業務のクラウド化、IT資産管理やセキュリティ対策の高度化など、企業が向き合うテーマは年々広がっています。
こうしたなかで、IT製品を選ぶ担当者にとって重要なのは、機能表や価格表だけでは見えにくい「実際に使われているか」や「導入後の成果につながっているか」という視点です。特に、SaaSやソフトウェアは導入して終わりではなく、日々の業務に組み込まれてこそ、初めてその真価を発揮します。
本記事では、ITreviewが主催するSaaS製品の年間アワード『Best Software in Japan 2026』のランキングデータをもとに、TOP10にランクインした注目のSaaS製品を様々な角度から詳しく解説していきます。
各製品の順位理由や特徴などはもちろんのこと「なぜその順位に位置しているのか」という分析や「昨年との変動が示すSaaS市場の変化」といった業界トレンドなども交えながら、2026年の企業がSaaS製品を選定するときに押さえるべきポイントを紐解いていきましょう。
目次
Best Software in Japan とは?

『Best Software in Japan』とは、SaaSのレビュープラットフォーム「ITreview」に投稿されたユーザーレビューや製品情報をもとに、日本国内で高い評価を得たSaaS・ソフトウェア・ITサービスをランキング形式で発表する年に一度の目玉企画です。業界内外からも大きな注目を集めています。
昨年のランキングでは、約13,000製品の中から満足度と認知度に優れたTOP100製品を選出いたしましたが、今年はITreviewに掲載されている製品数が約15,000製品へと拡大を続けていることもあり、より多くの候補の中からユーザー評価の高かったTOP100製品を選出する運びとなりました。
また、2026年のランキングでは、スコア算出ロジックとして、新たに「AI活用による業務実行度」や「比較ページのトラフィック数」といった指標が相対的に強化されており、昨年までの採点基準と比較して、より実利用に即した評価ロジックの調整が行われています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象期間 | 2025年4月~2026年3月 |
| 評価対象 | ITreviewに掲載されているSaaS・ソフトウェア・ITサービス |
| 選出製品数 | TOP100製品 |
| 主な評価軸 | 満足度/認知度/レビュー数/機能性/使いやすさ/サポート品質など |
| 併設部門 | The Best Software Rookie of the Year (新興製品部門) The Best Software by Category (カテゴリー部門) The Best Software for AI-Powered Features (生成AI部門) |
現場評価にもとづく選定
Best Software in Japan 2026では、レビュー数、満足度、認知度、機能への満足度、使いやすさ、導入のしやすさ、管理のしやすさ、サポート品質、価格評価、製品ページ閲覧、比較ページでの関心度、生成AIへの引用数など、単一の指標だけでなく複数の観点を組み合わせることで総合的にスコアが算出されています。
そのため、ランキング上位の製品は「レビューが多い」「満足度が高い」「検索や比較の場面で関心を集めている」といった複数の条件を満たしている傾向があります。導入検討者にとっては、単に有名な製品を知るだけでなく、実際の業務ユーザーから継続的に評価されている製品を把握できる点が大きな価値です。
各評価項目の見方を整理
ランキングを読み解く際は、ただ総合点を追うのではなく、どの評価項目が強いかを確認することも重要です。例えば、レビュー数が多い製品は利用実績や市場での浸透度が読み取りやすく、満足度が高い製品は導入後の体験に強みがある傾向にあります。
| 評価の観点 | 確認したい内容 | 製品比較における意味 |
|---|---|---|
| レビュー数 | 利用者の評価量 | 利用者の多さや検討材料の豊富さ |
| 満足度 | 利用者の評価水準 | 導入後の納得感や継続利用の可能性 |
| 認知度 | 市場での関心度 | 比較対象の入りやすさに影響 |
| 使いやすさ | 操作性やUI/UXの評価 | 現場の定着や教育コストに影響 |
| 導入のしやすさ | 初期設定や導入スピードの評価 | 立ち上げ期間や推進負荷に影響 |
| 管理のしやすさ | アカウント権限や運用管理の評価 | 情シスや管理部門の負担に影響 |
| サポート品質 | 問い合わせ対応や伴走支援の評価 | トラブル発生時の安心感に影響 |
| 価格への満足度 | 費用対効果の評価 | 予算化や継続判断に影響 |
その他の表彰部門について

また、総合ランキング版の『The Best Software TOP100』に加えて、以下の3つのサブ部門にも注目です。
- The Best Software Rookie of the Year:新たに市場に登場した製品の中から評価の高い製品を集めたルーキー部門
- The Best Software by Category:約200以上のカテゴリーごとにユーザー評価の高い製品を選出するカテゴリー部門
- The Best Software for AI-Powered Features:生成AI機能を搭載した製品の中から注目の高い製品を紹介する生成AI部門
前回アワードより設立された「The Best Software Rookie of the Year (ルーキー部門)」に加えて、2026年は新たに「The Best Software by Category (カテゴリー部門)」と「The Best Software for AI-Powered Features (生成AI部門)」を新設し、総合ランキングだけでは埋もれてしまいがちな優れた製品を表彰しています。
Best Software in Japan トップ10ランクイン製品
| 順位 | 製品名 | 提供ベンダー | 総合得点 | 昨年順位 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 ↑ | Chatwork | 株式会社kubell | 70.2 | 20位 |
| 2位 ↑ | 弥生給与 Next | 弥生株式会社 | 67.4 | 23位 |
| 3位 ↑ | Slack | 株式会社セールスフォース・ジャパン | 66.8 | 5位 |
| 4位 ↑ | ChatGPT | Open AI, Inc. | 64.6 | 10位 |
| 5位 ↑ | Canva | Canva Japan株式会社 | 62.7 | 16位 |
| 6位 ↓ | Microsoft Teams | 日本マイクロソフト株式会社 | 61.4 | 4位 |
| 7位 ↓ | SKYSEA Client View | Sky株式会社 | 58.2 | 1位 |
| 8位 ↓ | kintone | サイボウズ株式会社 | 58.0 | 2位 |
| 9位 ↑ | 弥生会計 | 弥生株式会社 | 57.9 | 圏外 |
| 10位 ↑ | desknet’s NEO | 株式会社ネオジャパン | 57.3 | 39位 |
1位:Chatwork (株式会社kubell)
国産ビジネスチャットの雄が首位へ躍進

| 2026年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 順位 | 1位 | 20位 |
| 総合得点 | 70.2 | 53.4 |
| レビュー数/年間 | 384件 | 103件 |
第1位は「株式会社kubell」が提供するビジネスチャット『Chatwork』です。昨年の20位から今年は1位へと飛躍的な成長を遂げ、総合得点は701.6点という圧倒的なスコアを叩き出しました。非IT部門の担当者やリモート環境でも直感的に使えるUI/UXと、タスク管理機能を内包した独自のチャット体験が高く評価されています。
▶ 受賞の背景・要因考察
Chatworkの1位獲得の背景には、中小企業市場に根ざしたエコシステム戦略の成功があります。提供元のkubellは、BPaaS事業を軸に「SaaSを使わせる」から「SaaSを使ってあげる」へと発想を転換し、経理や労務の業務プロセスごとクラウド経由で代行するサービスへと拡張しました。さらに、AIエージェントを戦略の中核に据え、過去のメッセージデータを学習した文面生成や要約機能、AIとの自然な対話機能の提供を進めており、日本企業の現場で使い倒せるAIの在り方を具現化しつつあります。
2位:弥生給与 Next (弥生株式会社)
給与業務を次世代へ導く注目の新定番

| 2026年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 順位 | 2位 | 23位 |
| 総合得点 | 67.4 | 52.5 |
| レビュー数/年間 | 77件 | 55件 |
第2位は「弥生株式会社」が提供する給与計算ソフト『弥生給与 Next』です。昨年の23位から今年は2位へと大きく順位を上げており、総合得点は674.3点を記録しました。現場への負担が大きい法改正への迅速な対応と、主に中小企業の経理担当者に向けたシンプルかつ学習コストの低いUI設計が高く評価されています。
▶ 受賞の背景・要因考察
給与計算業務は、社会保険料率や税制の頻繁な改正に対応する必要があり、現場にとって最も負担の大きい定型業務の一つです。弥生給与 Nextは、こうした法改正への対応スピードと精度を強みとしつつ、クラウド型の強みを活かして常に最新状態で利用できる環境を提供しています。IPAの「DX動向2025」では、日本企業のDX成果は、売上増や利益増よりもコスト削減・効率化に現れる傾向があると指摘されています。本製品の躍進は、バックオフィスのDXで確かな成果が出始めた証左と捉えられます。
3位:Slack (株式会社セールスフォース・ジャパン)
世界標準のビジネスチャットが初の表彰台へ

| 2026年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 順位 | 3位 | 5位 |
| 総合得点 | 66.8 | 61.8 |
| レビュー数/年間 | 307件 | 156件 |
第3位は「株式会社セールスフォース・ジャパン」が提供するビジネスチャット『Slack』です。昨年の5位から今年は3位へと順位を上げ、総合得点は667.6点を獲得しました。豊富な外部サービス連携に加え、AIエージェント機能の実装により、単なるチャットツールを超えた業務ハブとして機能する点が高く評価されています。
▶ 受賞の背景・要因考察
Slackの順位アップを牽引したのは、AIエージェントによる業務実行機能の本格実装です。AIが各種SaaSやシステムを横断的に操作し、業務を自動で進める仕組みが整いつつあります。また、ハイブリッドワーク環境を前提としたチーム内の情報共有や検索機能も引き続き評価されており、エンジニアチームから営業組織まで幅広く採用される汎用性も強みです。ビジネスチャット市場ではChatworkとの両雄状態が続いており、2026年は両製品の戦略選択が業界に大きなインパクトを与える一年になりそうです。
4位:ChatGPT (Open AI, Inc.)
生成AI時代を象徴する稀代のゲームチェンジャー

| 2026年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 順位 | 4位 | 10位 |
| 総合得点 | 64.6 | 56.8 |
| レビュー数/年間 | 108件 | 77件 |
第4位は「Open AI, Inc.」が提供する文章生成AI『ChatGPT』です。昨年の10位から今年は4位へと大幅に順位を上げ、総合得点は645.6点を獲得しました。LLM技術の目覚ましい発展にともなって、最近では業務での実用性が格段に高まっています。満足度が4.3ポイントと高水準を維持していることも注目に値するでしょう。
▶ 受賞の背景・要因考察
2025年までは「試しに触ってみる」段階にあった生成AIが、2026年に入って業務プロセスの中に恒常的に組み込まれる段階へと進みました。ChatGPTの順位急上昇は、その潮流をもっとも鮮明に映し出す事象といえます。総務省「令和7年版 情報通信白書」でも、企業における生成AI活用方針の策定状況が国別・企業規模別に調査されており、AI活用が経営課題の中心に据えられていることが示されています。もはや、ホワイトカラー業務の標準ツールとしての地位を確立したと評価できるでしょう。
5位:Canva (Canva Japan株式会社)
誰でもデザインを楽しめる万能ツール

| 2026年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 順位 | 5位 | 16位 |
| 総合得点 | 62.7 | 54.0 |
| レビュー数/年間 | 181件 | 49件 |
第5位は「Canva Japan株式会社」が提供するデザインツール『Canva』です。昨年の圏外から今年は5位へと初のランクインを果たし、総合得点は626.8点を獲得しました。デザインの専門スキルを持たないビジネスユーザーでも、高品質なクリエイティブ制作を直感的かつスピーディに行える点が絶大な支持を集めています。
▶ 受賞の背景・要因考察
Canvaの躍進を支えているのは、生成AIを組み込んだクリエイティブの民主化です。テキスト入力から画像やプレゼン資料を自動生成する機能、ブランドテンプレートの共有機能など、チーム全体のアウトプット品質を底上げする仕掛けが整っています。また、マーケティング部門だけでなく、人事や営業企画、経営層の資料作成にも利用が広がっており、汎用生成AIと特化型デザインSaaSが連携することで生まれる新たな価値は、2026年以降の業務SaaS選定における重要な観点となりそうです。
6位:Microsoft Teams (日本マイクロソフト株式会社)
意思決定には必須のビジネスインフラ

| 2026年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 順位 | 6位 | 4位 |
| 総合得点 | 61.4 | 61.8 |
| レビュー数/年間 | 267件 | 206件 |
第6位は「日本マイクロソフト株式会社」が提供するWeb会議システム『Microsoft Teams』です。昨年の4位から今年は6位へと順位は下がりましたが、総合得点614.2点と依然として高い評価を維持しています。Microsoft 365との統合を武器に、Web会議を中心とした業務プラットフォームとしての地位を確立しています。
▶ 受賞の背景・要因考察
Microsoft 365 Copilotによる議事録作成、要約、タスク抽出といったAIアシスタント機能の充実が、Teamsの評価を下支えしています。同時に、メール・カレンダー・ファイル共有とのシームレスな連携は、大企業の標準業務基盤としての役割を強固にしました。順位が下がった背景には、生成AI時代の新興SaaSが評価を急伸させた相対的な要因があると考えられます。とはいえ、Teamsが持つ既存IT資産との統合優位性は他に代替しづらく、大規模組織を中心とした定番ポジションは揺らいでいません。
7位:SKYSEA Client View (Sky株式会社)
情報資産を守る前回王者は今年も安定

| 2026年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 順位 | 7位 | 1位 |
| 総合得点 | 58.2 | 74.1 |
| レビュー数/年間 | 146件 | 246件 |
第7位は「Sky株式会社」が提供するIT資産管理ツール『SKYSEA Client View』です。昨年の1位から今年は7位へと順位を下げましたが、総合得点582.4点と引き続き安定した評価を維持しています。IT資産管理とセキュリティ対策を一元化できる国産ソフトとして、依然として強い存在感を示しているといえるでしょう。
▶ 受賞の背景・要因考察
SKYSEA Client Viewは、IT資産の可視化・PC操作ログの取得・セキュリティポリシー運用を一元的に実現できるツールとして、長年にわたり国内で厚い支持を得てきましたが、特に2026年は、生成AI関連製品の急浮上に押される形で相対的に順位を下げた構図とえいます。一方で、サイバー攻撃の巧妙化やテレワークの常態化を背景に、IT資産管理とエンドポイントセキュリティの重要性は引き続き増しており、継続投資先としての確実性は2026年においても揺るぎないものといえます。
8位:kintone (サイボウズ株式会社)
DXの魔法の杖は今年も存在感を発揮

| 2026年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 順位 | 8位 | 2位 |
| 総合得点 | 58.0 | 64.1 |
| レビュー数/年間 | 94件 | 54件 |
第8位は「サイボウズ株式会社」が提供するノーコードWebデータベース『kintone』です。昨年の2位から今年は8位へと順位を下げましたが、総合得点580.1点を記録しており、引き続き高水準の評価を維持しています。国産ノーコード開発プラットフォームの代表格として、現場主導のDXや業務改善を支え続けています。
▶ 受賞の背景・要因考察
kintoneは、IT人材不足のなかでも現場がシステムを内製できる環境を提供する製品として、長年評価されてきました。非IT部門による業務アプリ作成や導入支援パートナー企業との連携による手厚いサポートなどは、中小企業のDX推進と強く結びついています。順位の下落は相対的な変動であり、kintone自体の本質的な価値は損なわれていません。むしろ、生成AIがノーコード開発を補完する時代においては、ノーコード×AIの次の成長曲線を描く余地が豊富にある有望なポジションといえるでしょう。
9位:弥生会計 (弥生株式会社)
バックオフィス界の重鎮は今年も根強い支持

| 2026年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 順位 | 9位 | 圏外 |
| 総合得点 | 57.9 | 圏外 |
| レビュー数/年間 | 183件 | 圏外 |
第9位は「弥生株式会社」が提供する会計ソフト『弥生会計』です。昨年の圏外から今年は9位へと初のランクインを果たし、総合得点は579.2点を獲得しました。老舗の会計ソフトとして、中小企業の経理業務を長年支え続けている定番製品です。2位の『弥生給与 Next』と並び、同社製品がTOP10ダブル受賞を果たしました。
▶ 受賞の背景・要因考察
弥生会計のTOP10入りは、バックオフィスDXの成熟段階への到達を示す象徴的な出来事といえるでしょう。給与計算、会計、勤怠管理といった業務領域において、弥生ブランドは中小企業市場で圧倒的な信頼を築いています。経理業務はミスが許されない領域であり、法改正への追随精度や税理士連携のしやすさが導入判断のカギを握ります。弥生会計は、長年積み上げた実務ノウハウをプロダクトに反映した安心感が評価されており、新興ツールにはない独自の強みを発揮しています。
10位:desknet’s NEO (株式会社ネオジャパン)
これぞ国産グループウェアの決定版!

| 2026年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 順位 | 10位 | 39位 |
| 総合得点 | 57.3 | 48.8 |
| レビュー数/年間 | 175件 | 61件 |
第10位は「株式会社ネオジャパン」が提供するグループウェア『desknet’s NEO』です。昨年の圏外から今年は10位へとランクインし、総合得点は573.4点を獲得しました。スケジュール管理やワークフロー、掲示板機能など、組織運営に必要な機能を一元的に提供する国産グループウェアとして、根強い支持を獲得しています。
▶ 受賞の背景・要因考察
desknet’s NEOの強みは、オンプレミスとクラウドの両方に対応する柔軟性と、日本企業特有の業務慣習に寄り添った機能設計にあります。特に中堅中小企業や自治体、医療機関など、セキュリティ要件の厳しい組織での採用実績が多い点が特徴です。グローバル製品が席巻するなかでも、国産グループウェアとして地歩を固め続けているのは、きめ細かなサポートと現場適合性の高さが評価されてきた結果といえます。バックオフィスDXを支える堅実な選択肢として、2026年以降も注目を集めそうです。
TOP10ランクイン製品に見る2026年のSaaSトレンド
2026年のランキング結果を俯瞰すると、上位TOP10には「AIエージェント・国産SaaS・業務特化」という3つのキーワードが鮮明に立ち現れていることが分かります。これらのトレンドは、生成AIの本格実装フェーズへの突入と、リモートワーク定着後の業務再設計によって浮上してきた新たな課題と機会を映し出しており、企業のIT戦略においては今後より重要な指針になってくることでしょう。
- ①:生成AI機能の実装が本格化
- ②:国産SaaSの存在感が急上昇
- ③:業務特化型ツールが再注目
①:生成AI機能の実装が本格化
2026年のSaaSトレンドの1つ目としては「生成AI機能の実装が本格化した」ということが挙げられます。「ChatGPT」が昨年の10位から一気に4位へと飛躍を遂げた事実からもわかるように、企業における生成AI活用の本格定着を象徴している出来事といえるでしょう。
2025年まではPoC(概念実証)段階にとどまっていた生成AIの業務適用が、2026年に入ってから一気に実務レベルへと移行する結果となりました。従来までの文章作成や要約にとどまらず、複数のSaaSをまたいで自律的に業務を遂行するAIエージェントの導入が加速している印象です。
実際、ビジネスチャット「Slack」におけるITreview上のメイン生成AI機能は「AIエージェントによる業務実行」として登録されており「自然言語指示を理解したAIエージェントが各種SaaSやシステムを連携しながら業務を自動実行する」という世界観が現実のものとなっています。単なる対話型のAIから働くAIへと機能が進化している段階だと評価できるでしょう。
②:国産SaaSの存在感が急上昇
2026年のSaaSトレンドの2つ目としては「国産SaaSの存在感が急上昇した」ということが挙げられます。「Chatwork」が初の1位を獲得し「弥生給与 Next」と「弥生会計」が同時に上位入賞したことは、国産SaaSの圧倒的な実力伸長を象徴している出来事といえるでしょう。
日本企業特有の商習慣や法制度への適合、税理士や社労士などの士業との連携など、国産SaaSにしか提供できない価値が、評価軸として改めて注目されているのが2026年の特徴です。国産SaaSならではの強みが今まで以上に差別化要因として機能しはじめている転換点にあるといえます。
特に注目すべきは、これまで中小企業市場を基盤としてきた国産ベンダーがAIエージェント戦略を打ち出し、自社サービスを業務プロセスごと引き受けるプラットフォームへと進化させている点です。これまでの海外発のグローバルSaaSをいかに日本に最適化するかという構図から、日本の商習慣に近いところからAI時代を逆襲する構図へと移行しつつあります。
③:業務特化型ツールが再注目
2026年のSaaSトレンドの3つ目としては「業務特化型ツールが再台頭した」ということが挙げられます。「弥生給与 Next」と「弥生会計」がランクインし、さらに「Canva」が5位へと食い込んだ事実は、業務特化型SaaSへの回帰の動きを象徴している出来事といえるでしょう。
ここ数年のSaaS業界では、コラボレーションツールやプロジェクト管理ツールなどの汎用ツールで市場全体が飽和していましたが、2026年では給与計算や会計、デザイン作成といった、明確な業務課題を直接解決できるような業務特化型ツールが再び注目を集めている印象を受けます。
背景としては「汎用SaaSだけでは実務の痒いところに手が届かない」という現場の不満と「特化型ツールとAIを組み合わせることで専門業務を一気に効率化できる」という新たな期待が存在します。こうした動きは、各種市場調査が予測する「Vertical SaaSの拡大」と符合するものであり、2026年以降も続く構造的な変化として注視する必要があるでしょう。
まとめ:2026年は「AI・国産・業務特化」がキーワード
本記事では、ITreviewが主催するSaaS製品の年間アワード『Best Software in Japan 2026』のランキングデータをもとに、TOP10にランクインした注目のSaaS製品を様々な角度から詳しく解説していきました。
2026年のSaaSランキングでは、企業のデジタル変革が新たな成熟段階に入ったことを示しており、なかでも「AIエージェント・国産SaaS・業務特化」という3つのトレンドが、今後のIT戦略における重要指標であることがわかりました。
今後もITreviewでは、日々進化を続けるSaaS市場の最新情報について、ユーザーの皆様へ真に価値あるコンテンツをお届けしていきます。ツールの選定にお悩みの方や最新トレンドに関心のある方などは、ぜひ次回の記事もご覧ください。